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京 チラシアートワーク指南――チラシづくりとは、情報を操作すること。

はじめに

fringeでは、チラシのデザインはエディトリアルデザインが出来る方にお願いしたいと考え続けています。ビジュアル表現も重要ですが、興行の基本であるタイムテーブルやクレジット、そして作品完成前に内容を伝えなければならない宿命である演劇のコピーライティング、こうした表現のすべてに責任を負えるのは、エディトリアルデザインの実務経験があるグラフィックデザイナーだと思います。

「京」というクレジットで、東京で活躍されている高橋京子さん。fringeでは以前からそのチラシに興味を抱いていました。エディトリアルデザインの根幹である文字組と書体に関して、明確なポリシーの感じられる作品ばかりでした。DTPで誰もが簡単にチラシをつくれてしまう現在、京さんの作品は劇場で受け取るチラシ束の中で、プロフェッショナルとしての異彩を放っています。

2002年春、京さんはチラシの個展を開かれ、そのプロフィールで竹尾に勤められていたこと、通販会社でカタログ制作を担当されていたことを知りました。竹尾は洋紙の専門商社で、見本帖本店、青山見本帖、大阪見本帖といったショールームの名前は、少しでもデザインに関心のある方ならご存知のことでしょう。

株式会社竹尾ホームページ http://www.takeo.co.jp/

そして通信販売のカタログ制作。数あるエディトリアルデザインの中でも、納期の厳しさと内容に関する要求度の高さでは、これほど過酷なクライアントはないはずです。紙の専門家でもあり、最も厳しい現場でエディトリアルデザインを叩き込まれた京さんが演劇チラシを手掛けられているということは、演劇界にとっても大きな財産であると言えるでしょう。

京さんからは、fringeが企画協力した02年夏の制作ワークショップでお話を伺うことが出来ました。短い時間でしたが、持論である「チラシづくりは、情報を操作すること」には、刺激を受けました。チラシづくりを本格的に解説していただくには、もっと時間が必要です。そして、それはfringeにアクセスされている全国の制作者にもお伝えしたい内容です。

京さんのご協力を得て、fringeではチラシづくりの講座を連載することにしました。fringeからの質問にお答えいただく形式で、出来るだけサンプル画像もお見せしながら進めていきたいと思います。随時掲載する形で、場合によってはワークショップ開催にもつなげていけたらと考えています。ご愛読とご支援をお願いいたします。

文中の専門用語は、[用語]をご参照ください。Web上にも印刷の専門サイトが多数あります。


講師プロフィール


(本名=高橋京子)
グラフィックデザイナー
1971年生
http://www.kyodesignworks.com/

国際基督教大学在学時より、デザイン活動を始める。
卒業後、株式会社竹尾(紙専門商社)海外部勤務。
1998年、通信販売会社にデザイナー入社。
2001年2月よりフリー。
2002年3月、Caffe Passatempo(吉祥寺)にて、個展「ちらしアートワーク展 50:50~fifty images, fifty stages~」

演劇関連の主な仕事(宣伝美術)
天使エンジン(主宰/増田理)1998~2001
タテヨコ企画(主宰/横田修)1999~
夏のサミット/冬のサミット(こまばアゴラ劇場主催)2001~
bound(主宰/中埜コウシ+吉田祥二)2001~
かもねぎショット(主宰/高見亮子+多田慶子)2002~
T2 Project(主宰/友澤晃一+玉麻尚一)2002~

夏のサミット2001 タテヨコ企画 bound 1 | 2 | 3

1 夏のサミット2001@こまばアゴラ劇場(拡大:68KB)
ディレクター/中埜コウシ、夏井孝裕 2001年8月~10月 こまばアゴラ劇場
2 タテヨコ企画「風にゆれる、じっと見てる。」(拡大:98KB)
作・演出/横田修 2002年10月 こまばアゴラ劇場他
3 bound「TRANSIT」(拡大:38KB)
作/吉田祥二 演出/中埜コウシ 2003年3月 こまばアゴラ劇場