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キャッシュレス・ポイント還元事業

消費税率引き上げに伴う経済産業省のキャッシュレス・ポイント還元事業。2020年6月末までキャッシュレスで支払うと最大5%還元される国の施策だが、これを演劇のチケットや物販に適用出来たらと思う制作者は多いだろう。

中小規模の法人・個人事業主が対象のため、大手プレイガイドは対象外だが、該当するConfetti(ロングランプランニング株式会社)はクレジットカードによる5%還元を実施中。これを当日券・当日精算で実現するには、販売者が中小規模の法人・個人事業主で、クレジットカードなどのキャッシュレス決済手段を有し、その決済事業者経由で加盟店登録をしていれば可能だが、この条件を満たしている上演団体は限られるだろう。

そこで上演団体の代わりに、制作業務を受託している制作会社が加盟店となったのが合同会社尾崎商店(大阪市)。初導入は坂本企画『セニハラヲ』(2019/12/27~12/30、大阪・浄土宗應典院本堂)で、受付の模様が尾崎商店のFacebookで報告されている。

報告にあるとおり、操作の不具合や料金間違いによる返金処理もあったが、全体の約17%(支払額ベース約20%)の観客が利用し、受付を現金払いと分けることで全ステージ定刻開演を実現したという。尾崎商店のメールアドレスに問い合わせれば、「具体的な金額や動員数、属性、客層をまとめたレポートをご要望応じてお渡しします」とのこと。その後Twitterで行なったアンケートでは、観客・カンパニーとも好意的に受け止められている。

2020年に入ってからは、虚空旅団『ダライコ挽歌』(2/7~2/9、伊丹・AI・HALL)で受付と物販に導入、次回はプロトテアトル『Ⅹ Ⅹ』(2/14~2/16、KAVCホール)でも導入を告知している。

対応している決済ブランドはPayPay、au PAY、各種クレジットカード、交通系電子マネーで、メルペイも追加したという。マルチ決済端末を導入していると思われるが、尾崎商店ではこの決済端末自体の貸出サービスも導入予定だという。公演規模との兼ね合いもあるが、制作会社自身がキャッシュレス・ポイント還元事業の加盟店になるというユニークな発想で、観客の利便性を追求している尾崎商店の取り組みに注目したい。特に物販では有効だろう。