この記事は2017年1月に掲載されたものです。
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7か月以上前からフルカラーの仮仮チラシ4種類と仮チラシ9種類で作品世界を印象づけた鵺的トライアル『フォトジェニック』、チラシをコレクションする行為自体が物語とつながる驚愕のプロモーション
小劇場演劇でフルカラーの仮チラシを複数作成した例としては、2007年にin→dependent theatre(大阪・日本橋)が劇場プロデュースとして2劇場同時公演した『ポーカーフェイスアパートメント』『ファイティングブロードキャスト』で30種類を作成したのが最多と思われるが、これは劇場保有の「オルフィス」(理想科学工業のインクジェット式高速プリンタ)を使用したものだった。
あれから10年、フルカラー印刷の仮仮チラシ4種類、仮チラシ9種類、ポスター、本チラシを駆使した鵺的トライアル『フォトジェニック』が上演される(1/10~1/15、東京・SPACE梟門)。鵺的(本拠地・東京都江東区)の番外公演で、俳優と並行して写真家の活動を続ける橋本恵一郎氏(欲棒仙人π)が出演と宣伝写真を担当、09年の鵺的旗揚げから宣伝美術を手掛ける詩森ろば氏(風琴工房)が仮仮チラシの段階から宣伝美術を担当している。
SNSで確認出来る各チラシの作成状況は次のとおり。
- 2016年5月中旬~
仮仮チラシ(A4判)×4種類(2,500枚×4種類=10,000枚)
※奥野亮子氏(鵺的)をモデルにした4種類
※各画像はFacebookの紹介記事へリンクけっきょく四種コンプリートした方はおられるのだろうか。各2500枚しか刷ってないので演劇チラシにしてはレアな方です。 https://t.co/omDq1Xjw6b
— 高木登 (@nueteki_0706) 2016年7月13日
- 2016年8月下旬~
仮チラシ(A4判)×9種類(2,500枚×8種類+500枚×1種類=20,500枚)
※出演する女優4名(奥野亮子氏、川添美和氏、小崎愛美理氏、堤千穂氏)×2種類+1種類(画像非掲載)
※各画像はFacebookの紹介記事へリンク仮チラシは公開した八種以外に、実はもう一種あります。今回は各種2500枚ずつ刷っていますが、最後の一種は500枚しか刷っていない稀少物です。画像はあえて公開いたしませんが、どこかでお見かけの際はよろしくお願いいたします。 https://t.co/spmLQJvugo
— 高木登 (@nueteki_0706) 2016年9月9日
- 2016年10月下旬~
本チラシ(A2判縦1/2三つ折り)
※6面中4面が出演する女優4名
※各画像はFacebookの紹介記事へリンク - 2016年11月25日
先行発売開始 - 2016年12月1日
一般前売開始 - 2016年12月下旬~
ポスター
※画像はTwitterのオリジナルへリンク - 2017年1月10日~15日
公演
印刷費用が下がったことで、フルカラーのチラシを複数外注することは容易になったが、ただ種類を増やしただけでは意味がない。今回は殺害した遺体を撮影する猟奇的なカメラマンを描いた物語で、『フォトジェニック』というタイトルで女優のポートレートをチラシにすること自体が作品世界とつながる。なぜこんな仮仮チラシ、仮チラシをつくるのかという興味と相まって、作品への興味を抱かせる独特の展開となった。複数チラシの存在に気づいてコレクションしていた観客は、その行為が物語そのものであることに気づいた瞬間、戦慄を覚えるのだ。
さらに、公演後の2月3日~8日には新宿眼科画廊(東京・新宿)で橋本氏の写真展も開催される。本チラシではこの告知も大きく掲載され、仮仮チラシから目にしていた観客は、これが写真展も含めたトータルな表現につながることに気づく仕掛けだ。
本番7か月以上前から緻密なプロモーションを展開した制作スタッフの発想力に注目したい。制作は鵺的制作部、J-Stage Navi(東京都練馬区)。
(2017年1月7日追記)
画像非掲載だった9枚目の仮チラシが公開された。
仮チラシ(希少版)
※画像はTwitterのオリジナルへリンク
自分がしたことといえば、この画像でもう一種、五百枚だけ仮チラシを作ってくださいとお願いしたくらいです。これが誰の手なのかは詩森さんにもお伝えしていません。公演をご覧になった方には、おのずとご理解いただけることでしょう。 pic.twitter.com/Iyhq3czHsW
— 高木登 (@nueteki_0706) 2017年1月5日