大阪のin→dependent theatreが理想科学工業のオルフィスを導入したそうです。インクジェットによる世界最速のカラー複合機で、フルカラーなのにモノクロ並みのプリントチャージが売りです。リソグラフを入れる劇場はあっても、オルフィスを入れるところはまだめずらしいと思います。
この機能を活かし、7月に2劇場を同時使用する劇場プロデュース第10弾の仮チラシを30種類作成するようです。出演者30名をそれぞれモデルにする発想は、これまでのチラシになかったものです。もし可能なら、一つのチラシ束に間隔を空けて3~5種類ずつ折りこめばさらに効果的でしょう。
チラシを何種類も作成した例では、首都圏ならTEAM発砲・B・ZINが戦隊ものにちなんで5種類(5色)つくった『ゴメンバー』(1998年)が話題になりましたし、関西では劇団☆世界一団(現・sunday)が『心がわりエアポート』(2006年)で6種類作成したのが記憶に新しいと思います。いずれもコンプリートして持参した観客にプレゼントがありました。今回は仮チラシですが、桁違いの種類はチラシ束をめくる楽しみをきっと増してくれるものと思います。
昨年12月の「吉祥寺ちらし会議」以来、私はチラシ束に対する自分の違和感がどこから生まれたのかを考えてきました。チラシ束自体の是非より、私はチラシしか宣伝媒体がないかのような小劇場界の発想そのものが嫌なのだと気づきました。関西の劇場間バーター折り込みを限界だと思っているのも、先輩がつくってくれた制度に頼りきって、創意工夫を忘れている現状がとても残念だからです。もし、制作者一人一人が本当にチラシの可能性を追求したなら、たぶんチラシ束はいまのような厚みにはならないだろうし、仮になったとしても何セットでも持ち帰りたいような束になるはずです。
これまでの発想を打ち破るようなチラシや配布方法があれば、紙のコミュニケーションはやはり強いと思います。in→dependent theatreが30種類の仮チラシを大量投入したとしても、それは紙の浪費ではなく、考え抜かれたこととして評価したいと思います。
BLOGでのご紹介ありがとうございます。
うちのオルフィスくんは本当に働き者です。
インディペンデントシアターはエコノミーでエコロジーな劇場を目指して、なるべく紙の消費は減らしたいと考えています。ですから、むしろ量よりも効果の有る形を目指して、オルフィス導入と今回の30種類の仮チラシが誕生しました。
もちろん制作支援として劇団さんへの印刷サービスも実施するのですが、是非そういう視点で使ってもらいたいと思っています。