この記事は2003年1月に掲載されたものです。
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埼玉「キラリ☆ふじみ」が若手カンパニー稽古用にホールを2週間無料開放
2002年11月にオープンした埼玉県の富士見市民文化会館「キラリ☆ふじみ」で、東京などの若手カンパニーに稽古場としてホールを2週間単位で無料開放し、代わりにワークショップや公開稽古を行なう「演劇トライアル」が始まった。
予算が厳しい中で自主事業を発信していくための企画で、同会館プロデューサーに就任した平田オリザ氏が発案した。稽古場となるホールは昇降床を備えたマルチホール(キャパ255名)で、楽屋4室やシャワーなども自由に使える。本番同様の大道具を組んでの稽古が可能になるなど、設備的には申し分ない。
キラリ☆ふじみのホームページ「マルチホールの概要」
http://www.city.fujimi.saitama.jp/culture/sisetu/multi.htm
第1弾として東京オレンジ(本拠地・東京都新宿区)が1月前半、第2弾としてユニークポイント(本拠地・東京都板橋区)が1月後半のそれぞれ2週間を使用する。東京オレンジは1月19日に子供向けワークショップを開催、ユニークポイントは2月1日に公開稽古を行なう。いずれも料金無料で、特に後者は照明・音響・装置を組んだプレビュー公演に匹敵する内容になるという。
平田氏は「富士見でつくったわけだから富士見発だ!と言っても嘘じゃない」(「地域創造レター」2003年1月号)と語っているが、まさに稽古場助成とも言えるプログラムで、助成金と同様に各カンパニーのチラシなどにも明示して、富士見市のブランドイメージを高めることに役立ててほしい。平田氏は市民ボランティアに劇場でしか使えない地域通貨「アーツ」を導入することも決めており、「アーツ」を使って観劇などが出来る施設のネットワーク化も考えているという。
同会館は最寄り駅から遠いのが最大のネックだが、それを逆手に取った稽古合宿など、様々な展開が考えられるのではないだろうか。公立文化施設が予算なしでも地域の文化芸術拠点になれるのか、興味深い実験はスタートしたばかりだ。