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マームとジプシー『ハロースクール、バイバイ』

若手注目株として、京都国際舞台芸術祭2010「KYOTO EXPERIMENT」フリンジ企画「HAPPLAY」、フェスティバル/トーキョー10(F/T10)公募プログラムの双方に参加したマームとジプシー(本拠地・神奈川県)。上演作『ハロースクール、バイバイ』(京都11/12~14=アトリエ劇研、東京11/24~11/28=シアターグリーンBASE THEATER)は、中学の女子バレーボール部を舞台にした青春群像劇だが、劇中で練習や試合のシーンが多く、舞台上でボールを一切使わず、演技だけでプレーの真似をする「エアーバレーボール」で表現した。

同カンパニーでは、エアーバレーボールが実際に成立するかを試すべく、10月28日に同じ桜美林大学文学部総合文化学科出身のモモンガ・コンプレックス(本拠地・埼玉県)を相手に、ヨコハマ創造都市センター内YCCホール(横浜・馬車道)で公開試合を開催した。同カンパニー主宰の藤田貴大氏は、横浜市内の急な坂スタジオ、のげシャーレ、STスポットによる創作支援プログラム「坂あがりスカラシップ2010」に選ばれており、今回の公開試合も坂あがりスカラシップが共同主催、のげシャーレを管理運営する横浜市芸術文化振興財団のヨコハマ創造都市センターが共催した。

当日は無料で「観戦サポーター」を募り、Ustreamでライブ中継された。カメラはロング、アップ、実況席の3台を用意。実況・解説は藤田氏と白神ももこ氏(モモンガ・コンプレックス主宰)が務めた。3画面を同時に見るための特設ページも提供された。

急な坂スタジオサイト「3画面同時配信特設ページ」
http://kyunasaka.jp/mum/mg.html

各カメラのうち、ロングと思われるものがオンデマンド配信可能となっている。

当日は学校同士の対決という設定で、準備運動、校歌斉唱に続いて熱戦が繰り広げられ、マームとジプシー演じる「かもめ中学校」が勝利。MVPには眞嶋木綿氏(モモンガ・コンプレックス)が選ばれたという。

作品上の設定をそのまま使い、話題づくりのプロモーションイベントに仕立てた非常にユニークな事例として注目される。そもそもエアーバレーボールという、そこに実体がない行為そのものが演劇的だし、観客も脳内でプレーを補完しなければならない。単にスポーツを題材にした作品で試合をしたのとは全く異なる、エアーバレーボールだからこそ意味がある秀逸な企画だ。エアーバレーボール自体への興味から、自然に作品世界に入り込ませる絶妙なアプローチだ。モモンガ・コンプレックス側も12月公演の出演者でチームを結成し、相乗効果を図った。

反響の大きい会場で音声が聞き取りにくかったのが残念だが、作品世界と巧みに連携した企画として、お手本になるようなプロモーションイベントである。

詳細は同サイト参照。

急な坂スタジオサイト/ニュース「マームとジプシー VS モモンガ・コンプレックス エアーバレーボール対決!10/28開催」
http://kyunasaka.jp/topics/events/airvolleyball.html

京都国際舞台芸術祭2010/フリンジ企画「HAPPLAY」『ハロースクール、バイバイ』
http://kyoto-ex.jp/happlay/740/

F/T10/公募プログラム『ハロースクール、バイバイ』
http://www.festival-tokyo.jp/program/mum_gypsy/