この記事は2007年8月に掲載されたものです。
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国の助成金は文化庁だけじゃない、制作者なら経済産業省の動向に注目
演劇に対する国からの助成金と言えば文化庁と芸術文化振興基金、海外公演なら外務省所管の国際交流基金、地方公共団体なら総務省所管の地域創造を思い浮かべるが、サービス産業やコンテンツビジネスを所管する経済産業省が大型の支援政策を行なっていることをご存知だろうか。観光・旅行の分野でも、所管の国土交通省以外に経済産業省が観光・集客サービス産業の観点から政策を行なっている。興行・集客に密接に関連する経済産業省の動向に、制作者なら注目すべきである。
近年の事例としては、商務情報政策局サービス産業課が行なっているサービス産業関連の支援事業があり、これに平成17年度から観光・集客サービス分野が加わった。募集内容は毎回異なるが、19年度は交流人口・滞在価値を増加させるユニークなサービス、ITを活用した観光集客情報提供が対象で、演劇を観光資源と考えると同事業への応募は充分可能である。前者は演劇祭、後者は演劇情報ポータルなどが該当するだろう。
企業を支援する経済産業省の助成金なので、民間の法人によるビジネスであることが重要。同事業も法人2団体以上でコンソーシアムを構成し、委託事業として実施する。19年度の事業費は1件3,000万円程度で、事業に従事した者への人件費、一般管理費も認められている。
19年度はゲーム会社(株式会社ラッセル)が神奈川県藤沢市と共同で、地域を舞台にしたゲームを制作して集客を図る提案が採択されるなど、演劇も工夫しだいでなんでも出来そうだ。
同事業では、18年度にART COMPLEX 1928(京都・三条御幸町)などを運営するリッジクリエイティブ株式会社、劇団衛星の有限会社如意プロデュース、NPO法人フリンジシアタープロジェクトなどによる「ロングラン公演推進委員会」提案の「ロングラン公演のためのバッカースオーディション及びトライアウトシステム構築プロジェクト」が採択され、電視游戲科学舘『ISANA-勇魚-』(2006/7/15~7/23、大阪・black chamber)などを中心に支援を受けた(500万円程度)。ミュージカル公演を含む東京圏のイベントを集めたGTF(グレータートウキョウフェスティバル)も支援を受けた(3,000万円~1億円程度)。
NPO法人健康サービス産業振興機構サイト
平成19年度「サービス産業生産性向上支援調査委託費(ビジネス性実証支援事業(観光・集客サービス分野))」に係る委託先の公募
http://www.jahio.or.jp/koubo/H19syukyaku.html
平成18年度「サービス産業創出支援事業(観光・集客交流サービス分野)」に係る委託先の公募
http://www.jahio.or.jp/koubo/H18_syuukyaku.html
コンテンツビジネスを所管する商務情報政策局文化情報関連産業課では、コンテンツ産業政策の報告書を多数発表している。現在のところ映像・ゲーム業界中心だが、顧客サービスの観点から経済産業省はパフォーミングアーツの興行形態に関心を示しており、今後の政策が注目される。同サイトではコンテンツプロデューサー育成カリキュラムのテキストも全文公開されており、一読の価値がある。
経済産業省サイト「コンテンツ産業政策」
http://www.meti.go.jp/policy/media_contents/