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  • 第1位
    栗東芸術文化会館さきらが
    丹野賢一/NUMBERING MACHINE野外公演を中止、
    公共ホールの限界を露呈

    これまで耳にしたことがない経緯で、丹野賢一/NUMBERING MACHINE野外公演が中止となった。公表されている劇場側の行動や発言は公共ホールの限界を露呈するもので、地域では行政主導となっている劇場の在り方を根本から問うものだろう。カンパニー側は再演を目指している。

  • 第2位
    名古屋市文化振興事業団が
    燐光群『私たちの戦争』共催取り消し、
    大きな溝を残す

    名古屋市文化振興事業団が燐光群『私たちの戦争』共催を決定後に取り消した。劇作家協会などの質問に対し、事業団は手続き論に終始した回答で逃げた。あまりにお粗末な顛末に、いちばん忸怩たる思いは当の事業団職員たちではないだろうか。藤沢市でも同様の事件が発生。

  • 第3位
    新設ラッシュで大阪の劇場閉鎖問題から
    一転して2005年問題勃発、
    問われる制作者の真価

    危機的と騒がれた状況から一転して過剰気味になった大阪の小劇場。早くもラフレシア円形劇場祭延期などの弊害を生んでいる。演劇制作が確立されていない中、場の喪失だけがクローズアップされた反動ではないか。稼働率が落ちないよう、いまこそ制作者の真価が問われる。

  • 第4位
    稽古場不足の東京に
    廃校などを利用した稽古場施設が相次いで登場、
    演劇に必要なのは劇場より稽古場だ

    慢性的稽古場不足の東京に、芸術団体の側に立った稽古場施設が相次いで誕生した。東京都の築地市場内稽古場、豊島区の廃校をアートネットワーク・ジャパンが運営するにしすがも創造舎、新宿区の廃校を芸団協が運営する芸能花伝舎。制作者が待ち望んでいた施設だ。

  • 第5位
    国による初めての俳優養成機関
    「演劇研修所」が新国立劇場に創設へ

    演劇関係者の悲願であった国による俳優養成機関が、新国立劇場に設けられることになった。豪華講師陣による8月のサマーコース試験実施を経て、ようやく国がその必要性を認めた。学校教育や国立大学で演劇が正課となっていない日本で、その先駆けとなることを期待したい。

  • 第6位
    波乱を呼んだ横浜市「BankART 1929」迷走、
    日本郵船倉庫へ移転で現状維持

    横浜・馬車道の歴史的建築物を活用した「BankART 1929」は、その華やかなオープニングからわずか数か月後に、東京芸大大学院新設で縮小の危機を迎えた。関係者の努力で決定済み事業はそのまま開催し、日本郵船倉庫への移転も決定したが、横浜市を注視する必要がありそうだ。

  • 第7位
    目立つ劇場以外の空間での野心的活動、
    今年特に印象残った4団体

    劇場以外の新たな空間で演劇の可能性を問う公演が今年は目立った。野外は台風による中止も多かったが、その挑戦心に拍手を贈りたい。特に印象に残ったのは東京でKAKUTA、Ort-d.d、関西で劇団衛星。庭劇団ペニノは11月の西新宿野外公演も含め、異彩を放った。

  • 第8位
    関西で平日公演・ロングラン促進の試みが相次ぐ、
    首都圏でも優遇姿勢を打ち出す劇場が増加

    関西で平日公演、ロングランを促進させる劇場からの働きかけが続いた。HEP HALLやアトリエ劇研で全席指定も導入され、関西が変わりつつある。これを票券管理から支えた「theater-reservation.net」にも注目。首都圏でも長期計画やロングランを優遇する劇場が増えた。

  • 第9位
    芸術と地域住民の狭間で
    試練に立たされる公共ホールの芸術監督、
    両立の道はないのか

    芸術発信で存在感を高めている公共ホールが増えつつある一方、財政悪化により芸術監督が試練に立たされるケースも目立った。今年はオーバード・ホールが芸術監督制を廃止、まつもと市民芸術館でも新市長との対立が新聞をにぎわせた。

  • 第10位
    嘉穂劇場が水害被害から早期復興するも
    台風18号が山口の劇場を直撃、
    新潟県中越地震もリリックホールを泣かす

    昨年7月の水害で壊滅的被害を受けた嘉穂劇場が順調な支援を受け、早期の復興を果たした。絶望的状況からの再開を祝福したい。一方で9月の台風18号は山口芸術情報センター、みどり会館などに甚大な被害を与えた。新潟県中越地震など天災に翻弄された一年だった。

  • 次点
    指定管理者制度活発化で
    公募やシンポジウムが相次ぐ、
    福岡では芸術NPOが新しい形で参画

    指定管理者制度導入が活発化し、公共ホールでは横浜市を筆頭に公募が続いている。行政側も手一杯のようで、従来の外郭団体が指定されるケースが目立つが、芸術NPOの躍進に期待する。福岡市ではFPAPが外郭団体から受付管理業務を受託して、新しい参画の形を示した。