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  • 第1位
    こまばアゴラ劇場(東京・駒場)、
    来年度から貸館制度を全廃して全公演を劇場プロデュース化、
    劇場費無料を実施

    助成金をこれからの若手が獲得するにはどうしたらいいか。その具体的方策を示したのは、小劇場系で最も助成金に採択され、制度を知り尽くしている青年団/有限会社アゴラ企画だった。公演助成から劇場を通じた団体助成へ。その可能性を秘めた画期的実験が始まる。

  • 第2位
    電視游戲科学舘(京都)が
    関西小劇場界で異例の3週間ロングラン、
    劇場(ART COMPLEX 1928)と共に興行の可能性を追求する

    カンパニーレベルで演劇制作を変えていける確実な方法、それがロングランである。興行とはなにかを考える上で、彼らの勇気ある試みを忘れてはならない。関西に志ある若手がいることに感動した。10年後に彼らの行動が関西のターニングポイントだったと呼ばれることを心から願う。

  • 第3位
    tpt(東京)が文化庁芸術団体重点支援事業で
    若手公演全20ステージを入場無料、
    助成金の画期的使い方を示す

    芸術団体重点支援事業を使って、若手公演をすべて無料にするという画期的試みが始まった。芸術と制作という両面の課題に真摯に取り組むtptの姿勢は、小劇場系カンパニーにとって大きな道しるべになるものだろう。助成金の使途にもセンスが要求されるのだ。

  • 第4位
    大阪を中心に劇場閉鎖が相次ぐ一方、
    新劇場の情報や上演スペースの確保に関する動きも

    大阪で閉鎖のニュースが目立った一年だったが、東京や札幌でも劇場のスクラップ・アンド・ビルドが続いた。しかし、場の喪失を嘆いてばかりいるより、制作者なら新しい上演場所の確保に進んでいかなければならない。いまこそ制作者がリーダーシップをとってもらいたいものだ。

  • 第5位
    文化庁が劇場自体への初めての助成金
    「芸術拠点形成事業」創設するも、
    民間劇場への助成は皆無

    文化庁が新しい助成金「芸術拠点形成事業」を創設し、劇場自体へのサポートを開始した。このこと自体は画期的だったが、結果を見ると純粋な民間劇場は一つも採択されておらず、妥当性への批判が上がった。公共ホールと民間劇場の役割分担を考え直す時期だと言えよう。

  • 第6位
    日本劇団協議会機関誌『join』の
    ジャーナリズム感覚あふれる特集に各方面から絶賛の声、
    古城十忍専務理事の手腕に注目

    新劇系中心の日本劇団協議会は、小劇場系の視点で見ると違和感を覚えることもあるが、その機関誌『join』は客観的姿勢を貫き、ジャーナリズム感覚あふれる記事で読者を唸らせている。さすが元新聞記者の古城十忍専務理事が全力で編集しているだけのことはある。

  • 第7位
    遊◎機械/全自動シアターが最終公演、
    遊園地再生事業団が活動再開

    小劇場を代表するカンパニー、遊◎機械/全自動シアターが今年で最終公演となった。制作面でも旗揚げ期から小劇場界をリードし、ネビュラプロジェクトの折込代行業務の原点にもなったカンパニーだけに時代を感じる。一方、遊園地再生事業団が活動を再開した。

  • 第8位
    仙台市に稽古場専用施設
    「せんだい演劇工房10-BOX」オープン

    東北で演劇活動が盛んと言われる仙台市に、市の財団法人が運営する稽古場施設がオープンした。創造環境を支えるのは劇場よりも稽古場であることは、演劇人なら誰もが知っている。稽古場施設を設ける自治体はまだ限られているが、全国に広がることを願いたい。

  • 第9位
    企業メセナ協議会の助成認定条件が拡大、
    プロ限定からセミプロやプロ志向のアマチュアも適用対象に

    企業メセナ協議会の助成認定制度が8年ぶりに改正され、芸術ジャンルや申請対象の拡大が行なわれた。小劇場の場合、純然たるプロと呼べないカンパニーが大多数を占めるため、この改正で堂々と申請することが可能となった。寄付金獲得の上でも大きな前進と言えよう。

  • 第10位
    新設のコンペ型フェスティバル
    「E-1グランプリ」「よしもとrise演劇祭」が話題、
    若手劇団が高額賞金を競う

    シアターリパブリックによる「E-1グランプリ」、吉本興業+よみうりテレビによる「よしもとrise演劇祭」が、高額賞金のコンペで若手劇団の関心を呼んだ。それぞれ独特の審査方法で得点を競うもので、エンタテインメント系カンパニーには刺激になったようだ。

  • 次点
    能祖将夫プロデューサー、松下安良氏ら
    名物制作者の去就が話題に

    青山劇場・青山円形劇場の能祖将夫プロデューサー、南河内万歳一座制作チーフ・松下安良氏の去就が印象に残った。制作者の果たす役割を考えると、彼らの業績はもっと(場合によっては作・演出以上に)語られていいのではないか。制作者の重要性を再確認したい。