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本番中の舞台転換・照明・音響などのタイミングをきっかけという。放送用語のキューと同じだが、放送ではディレクターがその瞬間にキューを出すのに対し、演劇では役者の台詞や動作を目印にして、各スタッフが独自にオペレーションを行なう。従って、きっかけになっている台詞などを勝手に変えることは厳禁である。

きっかけが多い作品ほどスタッフの仕事は多くなる。照明の場合、ほとんどがコンピューターに記憶させたシーンを再現させるだけだが、音響は頭出しやフェーダー操作を伴うため、きっかけの数が作業量に比例することになる。

劇場できっかけを確認する稽古を場当たりと呼ぶ。場当たりではタイミングを確認すると同時に、役者の出ハケをどうするかも決めていく。舞台袖も位置によって、上1(かみいち=1番目の上袖)上2(かみに=2番目の上袖)下1(しもいち=1番目の下袖)下2(しもに=2番目の下袖)などと呼び、役者同士がぶつからないよう、どこから出ハケするかも詳細に打ち合わせる。

照明の位置合わせはシュートでほぼ完成しているが、実際に役者が立った状態での微調整を場当たりですることも多い。暗転中の立ち位置や装置の置き場所などは、暗闇で目安になるものが存在しないため、蓄光テープでバミるのが普通である。