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  • 第1位
    東京で老舗劇場の閉館相次ぎ、
    劇場地図が大きく変貌へ

    東京の劇場地図が様変わりを見せようとしている。シアターVアカサカ、シアターアプル、ベニサン・ピット、THEATER/TOPSが閉館を発表し、ストアハウスが移転先を探している。新劇場は座・高円寺が開館準備を整え、ザ・ポケット横に2館の新設が発表された。新宿から中央線沿線へのシフトが予想される。

  • 第2位
    東京芸術劇場に高萩宏氏と野田秀樹氏就任、
    新たな創造拠点構築へ

    東京芸術劇場が芸術監督を設け、野田秀樹氏が芸術顧問を経て就任することが決定。野田氏はシス・カンパニーとの業務提携を終了し、NODA・MAPの拠点を同劇場へ移すことを表明。かつての盟友・高萩宏氏も同劇場副館長へ転進。受け入れる東京都歴史文化財団も劇場改修や助成制度変更など、活発な動きを見せた。

  • 第3位
    直接販売・小規模公演を狙った
    チケットシステムが激戦

    カンパニーの直接販売と手売りを支援するASPサービスが複数開始された。決済を伴わない予約システムで、小劇場が主なターゲット。シバイエンジン「prism」、Confetti「とりおきシステム」、「CoRichチケット!」が競う。既存プレイガイドもイープラスが「e+WEBオープンシステム」を開始した。

  • 第4位
    鳥の劇場が「鳥の演劇祭」開催、
    着実に地元へ根付く

    鳥の劇場が着実に支持を広げている。2月には寄付減額で財政難が伝えられたが、助成金獲得などで持ちこたえ、9月に鳥取県初の本格的演劇祭「鳥の演劇祭」を開催。地元での中島諒人氏の評価も高まり、演劇が地域に及ぼす影響を具現化させている。地域へのUターンによる成功例として特筆される。

  • 第5位
    大阪・-IST零番舘が突然閉館、
    公演予定カンパニーに試練

    大阪の-IST零番舘が多数の公演ラインナップを残したまま、10月に突然閉館。上演団体が代替劇場確保に奔走する前代未聞の事態となった。劇場側の報告は自己弁護に終始し、誠意ある対応がなされていないとの批判が強い。劇場と上演団体の信頼関係を根底から揺るがす不祥事となった。

  • 第6位
    「SENDAI座☆プロジェクト」で
    仙台中心部に小劇場復活

    仙台中心部で仕事帰りに芝居を楽しめる環境をつくるため、地元ベテラン俳優が「SENDAI座☆プロジェクト」を始動。1980年代に小劇場として使われた白鳥ビル8Fホールを復活させ、10月に12日間ロングラン公演を実現した。きらく企画のGalleryOneLIFEに続き、自ら劇場をつくろうという志が頼もしい。

  • 第7位
    大阪府財政再建プログラム案で
    稽古場施設の府立青少年会館が廃止の危機

    大阪府の橋下徹知事による財政再建プログラム案が4月に発表。舞台芸術関係では、稽古場施設として重要な大阪府立青少年会館の廃止、小劇場公演にも使われるワッハ上方やドーンセンターの移転・統合が示された。関係者は猛反発しており、府側がホールとしてしか認識していない青少年会館の代替施設が気になる。

  • 第8位
    新国立劇場演劇部門
    次期芸術監督人事が迷走

    新国立劇場演劇部門芸術監督人事で、コミュニケーション不足を理由に就任1年未満で鵜山仁氏から宮田慶子氏への次期交代が決定。選定プロセスが不透明として演劇界から声明が出された。芸術団体における芸術監督と制作部の関係を改めて考えさせられる。一方、北村想氏からは東京中心の演劇状況への異論もあった。

  • 第9位
    東京国際芸術祭が主催形態を変えて
    「フェスティバル/トーキョー」へ

    NPO法人アートネットワーク・ジャパンが単独主催していた東京国際芸術祭が、資金難により2008年で終了。09年から行政と共に「フェスティバル/トーキョー」として開催される。フェスバルディレクターには相馬千秋氏が就任。規模を拡大して第2回からは秋季開催となる。日本を代表する演劇祭が大きなスキーム転換となる。

  • 第10位
    ゴーチ・ブラザーズが「the company」公演開始、
    新たな創造環境開拓へ

    演出家のロバート・アラン・アッカーマン氏が、tptワークショップ参加者からスタートした若手俳優集団を「the company」として独立。ゴーチ・ブラザーズがプロデュースして、2008年から公演を開始した。阿佐ヶ谷スパイダース以外に活動領域を広げ、小劇場の新しい創造環境を生み出すゴーチに注目したい。

  • 次点
    湯浅芳子賞の後を受け、
    小田島雄志氏が自費で
    「小田島雄志・翻訳戯曲賞」設立

    優れた海外戯曲の上演に贈られていた湯浅芳子賞が、公益信託基金の残高減により終了。これを危惧した小田島雄志氏が、自費で「小田島雄志・翻訳戯曲賞」を設立した。今後10年間を目途に賞金10万円を各2名に贈る。太田耕人氏と九鬼葉子氏による関西現代演劇俳優賞同様、なかなか出来ることではない。