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誰が行くべきか

劇場下見は、劇場探しの段階でのものと、借りることを決めてからのものがあります。

劇場探しの段階では、その劇場でやりたいか(表現面の相性)、本当に出来るか(物理的な制約)が判断基準となりますので、演出家と制作者が行くべきでしょう。制作者として最低限の条件チェックは必要ですが、カンパニーとしてその劇場がふさわしいかどうかの見地から考慮すべきだと思います。

借りることを決めてからの下見は実務中心になりますので、舞台監督と制作者が行くべきでしょう。舞台監督にその劇場の使用経験があれば同行しなくても構いませんが、初めての劇場なら必ず見てもらうべきです。他のスタッフは時間や交通費との兼ね合いになりますが、初めての劇場で機材面の不安がある場合、照明・音響スタッフが同行すると心強いものです。舞台監督がスタッフ代表として行くことは可能ですが、専門分野のチェックではやはり専門家に任せたほうが安心です。

下見の日時

劇場探しの段階では、まずその劇場で上演されている作品を観客として観に行く方法があります。それが難しい場合は、劇場側に使用中のカンパニーの了解を取ってもらい、平日昼間などの邪魔にならない時間帯に訪ねるべきでしょう。

借りることを決めてからの下見は、素舞台(装置が一切ない状態)で必要箇所の実測が出来ることを望ましいでしょう。人気がある劇場の場合、ほとんどの日程が埋まっており、素舞台は月1日程度の保守点検日のみということもめずらしくありません。早めに劇場と打ち合わせるようにしましょう。どうしても予定が合わせない場合は、劇場側に使用中のカンパニーの了解を取ってもらい、平日昼間などに訪ねます。舞台裏や楽屋にも立ち入ることになりますので、トラブルにならないよう細心の注意を払ってください。

下見の内容

借りることを決めてからの下見では、下記の内容をチェックします。●は舞台監督と制作者双方が把握しておくべきこと、○は制作者が責任持つべきことです。もちろん、舞台・照明・音響の専門的なチェックは別に当該スタッフが行ないます(参加出来ない場合は舞台監督が代行)。時間的には1時間以内で済ませられるはずです。必要ならビデオ撮影して、参加出来なかったスタッフに渡すと喜ばれるでしょう。

特にテナントビル内の劇場、住宅地の劇場では近隣との関係が複雑ですから注意してください。特に明文化されていない注意事項(あるいは使用上のヒント)があるかも知れませんので、制作者から「ほかになにか気をつけるべき点はあるでしょうか」と必ず劇場側に尋ねたいものです。

搬入・搬出関係
搬入・搬出時間の制限
トラック進入道路 何トン車まで可能か
トラック駐車場所 何トン車まで可能か
搬入口から舞台までの経路
エレベーターサイズ 図面がなければ幅・奥行・高さを実測
長物が入るか 寸角4mなど
所轄官庁への届出確認
道路使用許可申請(警察署)は必要か
危険行為解除申請・催事届(消防署)が必要か
全般
入退出の規則
タタキ・サウンドチェックの制限
養生シート(ブルーシート)が必要な場所
防炎物品使用義務があるか 防炎物品以外の材料では公演が認められない劇場あり
飲食・喫煙場所
吸殻始末の方法
ゴミの出し方 分別、置き場、有料シールの有無など
壁面掲示の方法 どこに掲示していいか、画鋲やテープを使えるか
客席
各座席からの見え方・聞こえ方
上演中の非常灯消灯方法
操作卓を客席内に設置する場合はその位置
客席増減の方法や立ち見の有無 消防法により劇場ごとに様々な制約あり
桟敷の場合は土足禁止の有無
全席指定の場合は席番
開演ベル・アナウンスの有無
楽屋
鏡前数、備品 給湯設備、冷蔵庫、ハンガー、洗濯機、シャワーなど
モニター 音声、映像、どこが映るか
ロビー
スペース
観客動線
客入れ・客出し方法 雨天時のことを考慮に入れて
遅刻客の誘導方法
備品
トイレ・電話
開場・開演キューの伝達方法
契約条件
特殊な使用条件がないか
劇場料金 延長料金、特殊機材料、機材持込料など特に注意
支払方法
物販手数料
劇場扱いチケットの有無
チラシ掲載内容 ロゴやデータ表記上の指定があるか
以後の打ち合わせ日程 制作打ち合わせ、技術打ち合わせ
もらっておくもの
劇場図面・諸注意一式
必要なら消防署・警察署申請書類一式
必要なら劇場ロゴ・案内図の清刷またはデータ
あれば劇場付近地図
ロビー電話・楽屋電話があれば控える
あれば出入り弁当店のメニューをコピー
この劇場での最近のチラシ数種類 掲載方法の参考に
その他
劇場周辺の店は押さえておく コンビニ、弁当屋、薬局、金物店、手芸店、病院など
銀行休業日に両替可能な場所
案内図を新規作成する場合は付近の地理

上記内容をチェックリストにしました。印刷してそのままお使いいただけます。