この記事は2001年3月に掲載されたものです。
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装置の基本
小劇場の舞台装置は、ほとんどがパンチ、平台、箱馬、パネルで出来ている。
パンチはニードルパンチカーペットの略で、舞台・イベントの床面に広く使われている。商業イベントだと使い捨て感覚だが、小劇場では大切に再利用する。色は黒とグレーが多い。
平台、箱馬は木製のパーツ。劇場備品もしくは持ち込みによるもので、平台の基本サイズは3尺×6尺(さぶろく)。ほかに尺単位で様々な組み合わせがある。箱馬は平台の足として使うほか、舞台をあらゆるところで支えている。
パネルはカンパニーが装置として持ち込む。小劇場の場合、ほとんどの装置がパネルを中心とした木材で出来ている。他の材料を使用すると大道具製作費が桁違いに高くなる。パネルを床面に自立させる場合の補強に使うのが人形(にんぎょう)。木材を人の形に組み合わせたものである。さらに足元をシズと呼ばれる鉄塊で補強する。ワイヤーで天井方向に引っ張って固定する場合も多い。
木材は寸角(すんかく)、垂木(たるき)、ベニヤ、コンパネが中心。垂木というのは本来は家の部位の名称で、種類で言うと羽柄材(はがらざい)のことだが、演劇界では広く垂木と呼んでいる。
建築現場やコンサート会場で見かける鉄製の足場を、装置や客席に使う場合もある。あの足場はイントレまたはビティと呼ぶ。ビティは関西方面の呼び方のようで、東京ではあまり聞かない。イントレという名は映画『イントレランス』で初めて使われたことから付いた。厳密には『イントレランス』でのイントレは可動式足場で、可動のものはローリングタワーと呼ぶのが一般的。足場ではなく柱や梁状のものはトラスと呼ばれ、屋外の特設ステージなどはこれでつくられる。