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『とまる。』2009夏号

京都で2008年から発行されている季刊演劇情報フリーペーパー『とまる。』が、平行してプロデュース公演を続けている。09年度はハイナー・ミュラー『ハムレットマシーン』の連続上演中だ。ミニコミと公演が対等の関係で存在しており、カンパニーの枠組みを超えた新しい活動スタイルとも言える。

『とまる。』は京都市内の小劇場公演に折り込まれているB5判12ページオールカラーの小冊子。立命館大学の学生劇団・西一風出身の高田ひとし氏が代表を務める「とまる。企画」が発行。創刊時は『tomaru.』だったが、3号から『とまる。』に変更された。7月15日発行の2009夏号で通巻6号となる。紙媒体で演劇の活用の仕方をナビゲートするほか、実際に公演をプロデュースすることで、現代演劇と市民の溝を埋めようとしている。5号ではART COMPLEX 1928(京都・三条御幸町)の高畠里乃プロデューサーを特集した。

『ハムレットマシーン』連続上演は、6月10日~13日に立命館大学学生会館小ホール(京都・衣笠)、8月21日~23日にアトリエ劇研(京都・下鴨)で実施。第3弾を10年1月に予定している。上演は09年に高田氏が旗揚げした「tabula=rasa」が担当。難解と言われる現代演劇作品が目立つ京都で、実際に作品に触れてみるために企画されたという。

インタビューサイト「頭を下げれば大丈夫」で高田氏は同紙のコンセプトについて、「前に進む事から一旦離脱して、世界の見方を変えることが出来るんです。劇場はちょっと疲れた人の避難所として機能出来るんじゃないか」「別の価値や生き方を主張出来ないか」と語っている。

学生によるフリーペーパーは多いが、演劇人自身が本格的な内容で継続発行している例はめずらしい。京都では、05年まで活動していた京都学生演劇情報誌『DOS』(Drama On Stage)以来と思われる。学生演劇が盛んにもかかわらず集客数の限られる京都で、独自の切り口で現状を見つめる『とまる。』の今後に注目したい。

詳細は同サイト参照。

とまる。企画プロデュース「シリーズ:ハムレットマシーン」
http://tomarumaru.web.fc2.com/shm/

tabula=rasaサイト
http://tabula-rasa.jp/

インタビューサイト「頭を下げれば大丈夫」高田ひとし
http://www.intvw.net/takada.html