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Producers meet Producers 2006 地域の制作者のための創造啓発ツアー

●分割掲載です。初めての方は概要から順にご覧ください。

各セッション担当者が事前に準備したインタビュー内容です。チームによっては、ゲストと事前に打ち合わせたところもあります。こうした準備の進捗を、すべて特設ウェブログで公開して進めました。



【セッション3】倉迫康史氏(Ort-d.d主宰)

(まとめ:北村功治)

  1. 自己紹介 (5分程度)
  2. 人物に迫る (10分)
    • 演劇を選ぶまでの経緯(政治経済学部出身、何故演劇?)
    • 人との繋がり方/行動力と原動力
  3. 企画に迫る (40分)
    • 「東京・宮崎2拠点活動」に至った経緯と狙い、成果
    • 倉迫氏とこふく劇場との繋がりとANJ「昏睡」
    • 「にしすがも創造舎」(次のセッションに含まれるので省略可)
  4. 次はなにを? (25分)
    • 第3期ort-d.dが掲げるテーマと戦略、着地点。
    • 演劇に出来ること

このセッションを通して私が一番、倉迫氏に迫りたい事は、倉迫氏の「策士」としての部分です。遠い存在でもなく近過ぎない位置として、倉迫氏が展開している事が尊敬と共感する部分があるのです。
現段階では私には到底出来ない、思いつかないヴィジョンのもと確実に実践していく姿を、その辺を訊き出せたらなと考えています。
ついでに、第4期ort-d.dの展望まできけるといいな。

取材後のリポート



【セッション5】大西一郎氏(ネオゼネレイター・プロジェクト主宰、横浜演劇計画代表、横浜舞台芸術活動活性化実行委員会(SAAC)委員)

(まとめ:高崎大志)

このセッションは「東京に近接する横浜で、いかにアイデンティティを確立しているか?」がテーマとなります。

演出者協会の理事であり、演出家としても高名な大西さんですが、今回のツアーの趣旨に鑑み、企画や団体のプロデュースに重点をおいた進行にしたいと考えます。

横浜も市の人口で言えば、大阪よりも多い巨大都市なので、その施策がそのまま他地域の参考になるとは言えませんが、先行する巨人が近所にいるときにどのように制作的な視点を持つべきなのか?という点で、大いに参考になると思います。

また、サブテーマとして「近接した都市の演劇交流」というテーマも扱ってみたいと思います。
近接した都市の演劇交流というのは、政令指定都市が近接した京都―大阪―神戸、福岡―北九州だけでなく他の地域であっても、参考になるものと思われます。

(参考)ヨコハマ経済新聞
http://www.hamakei.com/special/98/

さて、次にどのような質問をしていくか、ですが、以下のような内容を考えています。

  1. 横浜に本拠をおく劇団の数
  2. 横浜の劇団の主な公演会場
  3. 横浜を主な練習場所とする劇団で、自分たちが(首都圏ではなく)横浜の劇団だと意識している劇団の割合
  4. 行政との連携、行政の支援について
  5. さまざまな演劇支援団体との連携の状況は
  6. 団体として、東京を後背地にもつ中、どのような方針をたて、具体的にどのようなことをしてるか。またその成果は?
  7. 地域として、東京を背後地にもつ中、どのような方針をたて、具体的にどのようなことをしてるか。またその成果は?

事実かどうかわからないのですが、以前「横浜の劇団は、東京で公演を打つ」という話しを聞いたことがあります。東京と横浜をわけるよりも、一体化した地域として認識している演劇人が多い可能性もあるとも思えます。

東京―横浜間は時間も30分程度で、交通費も500円未満です。
首都圏在住者で都心への移動に1時間くらい要する人も、東京に地域アイデンティティを持っているなか、横浜への地域アイデンティティというものがどの程度意識されているのか?ということも興味深い問題です。

(参考)横浜市の文化の方向性の「日本の創造都市」をめざす金沢と横浜(2)文化芸術創造都市をめざす横浜の取り組み
http://koho.osaka-cu.ac.jp/vuniv2005/cc2005/cc2005-6.html

取材後のリポート



【セッション6】こまばアゴラ劇場見学+松尾洋一郎氏(青年団制作)

(まとめ:植村純子)

【出発点】
青年団とこまばアゴラ劇場の活動を考える時、両者は分かちがたく結びついていると言えるでしょう。青年団/こまばアゴラ劇場は、ある意志の両側面、右側と左側と考えられます。
その意志とは何か。
大雑把に言うと、平田オリザ氏を中心に、“演劇をどうにかしてやろう”という強い想いではないかと推察します。
青年団/こまばアゴラ劇場は、果たしていかなる野望を抱いているのか。
そして、そこで制作チーフを務めておられる松尾洋一郎氏は、平田氏の想いを具現化するための方策について、最も知恵を巡らせている方でしょう。
想いを形にするために松尾氏がとりくんでいる方策を、「地域」との関係を中心に、フランスでの経験も踏まえて、お聞きしたい。

【狙い】
青年団/こまばアゴラ劇場の想いと地域で活動する我々の想い、すなわち“何をたくらんでいるのか・動機”の共通点・相違点を確認した上でお話を伺うことで、青年団/こまばアゴラ劇場が実際に行っている方策の意義とノウハウをより本質的に獲得したいと考えています。
具体的には、「地域→東京」「東京→地域」の2方向から話を伺うことになります。
それぞれの地域の制作者が今回のセッションの後に、「自らの地域からサミットへ劇団を参加させよう」と想うのか、「青年団のような旅公演を実現し、そのまま滞在型創作にもちこもう」と想うのか、はたまた「青年団/こまばアゴラ劇場を我が地域にもつくろう」と想うのか。自分の地域に必要なノウハウを取捨選択して持ち帰ることができれば良い。

【進行】

  1. こまばアゴラ劇場見学
  2. 青年団/こまばアゴラ劇場の狙いとその方策について。概要。
  3.  「地域→東京」について
    アゴラ劇場での受け入れ支援体制(サミット、助成、稽古場設備、支援会員制度)の戦略と実状
  4.  「東京→地域」について
    青年団の旅公演・滞在型創作について、戦略と実状
  5. 質疑応答
  • 受け入れに関しての想い
    青年団/アゴラ劇場がとっている「劇場/劇団」というスタイルは、それゆえに、「こまばアゴラ劇場」が他地域の人間からも重要なものとなっていると感じています。それを行なっている目的やその中での想い。
  • アゴラ劇場に来るカンパニーに対して思うことは何か?
    こまばアゴラ劇場で開催されている「サミット」の来季の募集要項を見ると、参加劇団を選考する際に重要なのは「過去の実績」よりも「将来への意識」であるように感じました。また、「助成金と旅公演のテクニック」のなかで、松尾氏が「どういう意図をもって東京で公演したいのか」が重要だ、と発言されています。
    この辺りの、迎える側・迎えられる側の「想い」が一致する場合の例、あるいは一致しない場合の原因、など。
  • 地域の制作者に必要と思われることは何か?
  • 東京が本拠地の青年団が旅公演をする際に、その行き先の選択の基準は何か?
    私達が、「地元→他地域」を考えた時、「→東京」をひとつ特別な形でまず取り上げてしまうのは、東京はそこで行なわれる演劇祭などの企画の情報が他地域にいても入ってきやすいという要素がある。キッカケの問題が大きいかと思います。
    では、逆に、東京が本拠地の青年団が、他地域へ行くには、何がキッカケになるのか。
  • 地域へ行くことで、どんな影響を与えようと考えるか。
    自分達の劇団としての変化、地元への影響、その公演場所の地域への影響について。
    また、地域公演を通して、地域に要望するもの等
  • 上記一例として、四国の場合。
    昨年秋に香川県の市立ホールで行なわれた青年団の公演の時のエピソード。
    今まで四国で上演していなかった訳、またこの時上演を行った理由等。
  • 時間が許せば、海外公演について。
    そこに至るまでの経緯、思い。

取材後のリポート



【セッション7】古元道広氏(燐光群/(有)グッドフェローズ制作部)

(まとめ:大橋敦史)

私達は「私達が気になっている事について話しましょう。このセッションは、普段の活動を多面的に捉えるための時間にしましょう。」という地点から出発しました。

【前半 / 旅公演の意義について】
冒頭に「どうしてわざわざアウェーの土地に行って、公演を打つのか。ってか、なんで名古屋に来るの?(嬉しいが!)」という旅公演の動機についての質問を、古元さんにしてみたいと考えております。
セッション担当や参加者の集団が置かれている状況などもお話しながら、旅公演の意義について、議論を深めたいと考えております。

西杢比野さんが所属する少年王者舘は、名古屋・東京・大阪3都市をまわる夏のツアーを軸に活躍する、全国屈指のカンパニーです。西杢比野さんが王者舘に入った時点で、既にこの3都市ツアーは「当然の事」になっており、その初期衝動や目的意識にはリアルタイムに触れていません。彼女は今回、その「当然の事」を再検証してみようと意気込んでいます。
大原さんが所属する「あとの祭り」は、岐阜の地にこだわって公演をしている中堅カンパニーです。大原さん自身は精力的に名古屋エリアの演劇関係者との交流をもっています。そんな彼女ですので、当然岐阜以外の土地での公演に制作者として興味を持つようですが、「身内以外の観客との出会い。」だけでは、「やる意味あるの?」という声に詰まる部分があるようです。

ひとつには、「身内以外の観客との出会い。」こそが重要と考えてもいいでしょう。これは東京以外の地域の制作者に限らず、継続して公演を打っている団体にとって気になるポイントといえますよね。海外公演にもそういったところがあると思います。
与えられた環境以外で、自分たちの普段のフィールドではないところで、芝居を立ち上げるということは、芝居そのものをとらえ直すいい機会かもしれません。(古元さん)

この、「なぜ、本拠地以外の土地で公演をするのか」「身内以外の観客との出会い」という課題は、間違いなく多くの演劇人のトークの種になっているであろうと考えました。
燐光群という運動の中に、そのヒントが秘められているのではなかろうかと。

私も入団した時から旅公演は「当然の事」だったんですが……。
「運動」というと少し大げさな感じがしますが、ただ、「演劇」が新しいものと出会う作業とするならば、新しい観客との出会いも大切にしたいと思えます。(古元さん)

【後半 / 旅先での手売りから考える、観客との関係】
後半は、制作者なら誰しも考える「手売り」についての考察をお聞きしたいと考えています。特に、旅先での手売りについて。
以前古元さんより、「旅先で協力して下さる方々が、直接手で売って、お客さんを呼んで下さるという事を大切にしたい。」とお聞きした事があります。ここに、燐光群のポリシーを感じました。 旅先での観客と、どのような関係を構築したいのかが、見えているのではないでしょうか。

ただ、「目的」にしている訳でもないと思うのです。
やってみて気づくことも多いですね。(古元さん)

翌日の【セッション10】伊藤さんとの対比をすると、その面白さが倍増するのではないかと、勝手ながら楽しみにしています。

私も聞きたいです。(古元さん)

そうこうしているうちに時間が来る予定ですが、役者やスタッフ、演出家からの絶大なる信頼・頼れる兄貴っぷりには私大変興味があり、「どうしてそこまで制作の古元さんがやるんですか! あそこまでよー出来んすよー。」という名古屋公演時のエピソードなど織り交ぜながら、古元さんが作り上げて来たキャラを含め(笑)、蓄積して来た制作者としての魂をお裾分けしてもらおうと、機会を狙う40分です。

そんな持ち上げんといて……。
あんまり「教える」ということではないでしょうけど、できるだけお話しできればと思います。(古元さん)

取材後のリポート


(この項続く)

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