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劇団千年王國『贋作者』

劇団千年王國(本拠地・札幌市)の10周年記念ツアーがin→dependent theatre 2nd(大阪・日本橋)で1月30日~2月1日に行なわれ、同劇場の相内唯史プロデューサーが熱烈な応援キャンペーンを展開した。

同公演は、2010年10月に10周年を迎えるin→dependent theatre 1stの記念企画「in→dependent theatre 2010 Winter-Spring Selection」第1弾で、in→dependent theatreとの共催。

札幌出身の相内氏は以前から同カンパニーに注目しており、若手演出家コンクール2005で最優秀賞を受賞した音楽劇『イザナキとイザナミ~古事記一幕~』を下北沢で観劇、08年のin→dependent theatre 1st上演にこぎつけた。今回は初期代表作で2回目の大阪公演となるが、事前に札幌公演(11/13~11/28、琴似・コンカリーニョ)を観た相内氏は、「自然と涙が流れ、終演後しばらく客席から一歩も動くことができませんでした」と語り、09年に観劇した107本のベストワンに挙げている。

大阪公演をなんとか満席にしたいと考えた相内氏は、自費で返金キャンペーンを企画。事前に専用予約フォームから申し込み、納得いかない場合にアンケート用紙に理由を明記して申し出れば、全額返金を約束した。途中退場だけでなく、最後まで観劇した場合も対象。経費ではなく、あくまで「相内が個人的に私財を投げ打って開催します」とした。

in→dependent theatreグループサイト「劇団千年王國『贋作者』が、もし面白くなければ全額返金します。」
http://west-power.co.jp/theatre/sennen.htm

相内氏がこのキャンペーンを決意した直後の11月20日~23日には、クエンティン・タランティーノ監督作品『イングロリアス・バスターズ』も「面白さタランかったら、全額返金しバスターズ」キャンペーンを開催したが、全く偶然の一致だったという。相内氏はリスペクトを込めた特設ページを急遽作成、話題性を取り込んだ。

ウォーカープラス「タランティーノ最新作で『面白くなかったら全額返金』キャンペーン」
http://news.walkerplus.com/2009/1028/7/

大阪公演千秋楽は月曜13時開演としたため、劇場に希望時間と電話番号を伝えれば、相内氏自ら予約客にモーニングコールをかけるキャンペーンも実施。寝過して観逃すことを防ぐサービスとした。月曜マチネを千秋楽にしたのは、土日に来場しにくい演劇関係者を取り込むことを狙ったもので、08年の『イザナキとイザナミ』でも大入りになったという。

相内氏はこれまでも数々のカンパニーを応援しているが、これほど熱の入ったキャンペーンはめずらしい。劇場プロデュースと同等以上の扱いだ。劇場公式ブログはもちろん、知人に送った個人メールの内容まで紹介している。

in→dependent theatre公式ブログ「伝われ、熱い想い!」
http://i-theatre.seesaa.net/article/139140351.html

1月27日には代表の橋口幸絵氏と一部出演者を大阪に先乗りさせ、シンポジウムや過去作品の上映をin→dependent theatre 1stで実施。シアトリカル應典院(大阪・谷町九丁目)で同じ主人公(絵師)を扱った作品が同時期に上演されることを知り、互いのチケット半券で500円割引になる「絵師たちの物語・W観劇キャンペーン」も企画した。

in→dependent theatre公式ブログ「シンポジウム開催決定!」
http://i-theatre.seesaa.net/article/138888353.html

in→dependent theatre公式ブログ「絵師たちの物語・W観劇キャンペーン」
http://i-theatre.seesaa.net/article/138709782.html

カンパニー側もこれに応え、大阪公演チラシには橋口氏が大阪への熱いメッセージを掲載。宮崎出身である橋口氏の演劇への原体験となった13年前の思い出を綴り、若手演出家コンクール2005での相内氏との衝撃の出会いを紹介している。相内氏と出会った日の深夜バスでin→dependent theatreの下見に向かったという記述は驚愕である。

劇団千年王國『贋作者』大阪公演チラシ裏面
http://file.sennencocuchi.blog.shinobi.jp/ura2.jpg