この記事は2009年7月に掲載されたものです。
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東京・JACROWが20時開演・40歳以上割引の「大人が来やすくなるシステム」
JACROW(本拠地・東京都葛飾区)が、最新作(7/17~7/26、東京・サンモールスタジオ)でユニークな開演時間と料金を設定した。昭和の誘拐事件を描いた公演は、本編『明けない夜』(上演時間約90分)と外伝『それぞれの事情』(約60分)の2本立て。それぞれ別々の料金設定になっているが、外伝のみのチケット販売はせず、本編と合わせて購入するシステムになっている。期間中13ステージある本編中、4ステージが外伝との連続公演になる。
15:00 17:30 20:00 ------------------------------ 7/17(金) 本編★ 7/18(土) 本編★ 本編★ 7/19(日) 本編★ 本編★ 7/20(祝) 本編 外伝 7/21(火) 本編 7/22(水) 本編☆ 外伝 7/23(木) 本編 7/24(金) 本編☆ 外伝 7/25(土) 本編 本編 7/26(日) 本編 外伝 ------------------------------ ★=本編前半割、☆=本編平日昼間料金
開演時間はマチネ15時、ソワレ20時が原則。中日の水曜をマチネのみとして休演日を設けず、終盤の金曜を夕方開演にして、平日仕事帰りの外伝観劇を可能にした。20時開演で観劇を容易にしたのに加え、随所に工夫が凝らされたタイムテーブルと言える。
料金は本編が前売3,000円/当日3,300円、外伝が前売・当日とも1,500円のところ、本編に対して前半割(前売2,700円/当日3,000円)、平日昼間料金(前売2,700円/当日3,000円)を設定した。ほかに証明証提示で40歳以上を前売・当日とも300円割り引く「四十割」を導入(他の割引とは併用不可)。
シニア層だけでなく、40歳以上を一律割り引く試みは、ピチチ5「大人割引」(当初35歳以上、その後40歳以上)、サンチャゴ「大人割」(30歳以上)に続くもの(本拠地いずれも東京)。
詳細は同サイト参照。
同ユニット代表の中村暢明氏は41歳。個人ブログで、「最近、特に小劇場の『大人は来るな的オーラ』が気になってしまう」「作り手が20代だから。その周辺の知り合いが観に来るという演劇界の現状が客席も20代という図式」と指摘。今回は20時開演などで「大人が楽しめる作品」「大人が来やすくなるシステム」両方を揃えたと語っている。
NOBLOG「JACROWと言えば、を真剣に考える」苦
http://wind.ap.teacup.com/jacrow/366.html
小劇場演劇のいびつな客層を疑問視し、社会人の大人の観客が足を運びにくくなっている現状を変えようとするJACROWの試みを高く評価したい。
なお、関西では極東退屈道場(本拠地・大阪府豊中市)が、次回公演(8/21~8/23、大阪・ウイングフィールド)で50歳以上対象のシニア割を導入している。
極東退屈道場公式ウェブサイト「公演スケジュール」
http://taikutsu.info/schedule/