この記事は2010年6月に掲載されたものです。
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新宿シアター・ミラクルで、Twitterのやりとりから劇場キャンセルの穴埋め企画が12日間で実現
新宿シアター・ミラクル(東京・新宿、キャパ50~90名)が公演直前に発生したキャンセルをTwitterにツイートしたところ、約7時間半後に代替企画がほぼ立ち上がり、短編6作品の上演を行なうことが決定した。Twitterのネットワークを活かした実際の公演事例として注目を集めている。
キャンセルになったのは6月12日~13日。劇場側がTwitterの公式アカウントで利用を呼び掛けたのが5月30日20時18分。準備期間が12日間しかないため、劇場側は試演会や稽古での利用を想定していたが、東京でショーケースイベント「15 minutes made」を主催するMrs.fictionsの松本隆志氏、あひるなんちゃら主宰の関村俊介氏が素早く反応。23時前に「5人くらい集まればやりますけどね」とツイートしていたのが、25時台にはその人数に達して話が具体化。タイムラインを見た俳優からも次々と出演希望のメッセージが入り、27時台にはスタッフも加わり、約7時間半後の27時53分にはほぼ公演可能な陣容となった。スタッフ・キャストの参加希望はその後も続いた。
31日には劇場側と公演を合意し、「CoRich舞台芸術!」に詳細未定でページを開設。6月1日26時には詳細を決定し、「CoRichチケット!」で前売予約を開始した。2日にはこれらの情報を掲載した仮チラシ初版が完成。一部公演に折り込んだほか、セブンイレブン「ネットプリント」(2009/9/11付本欄既報)で希望者が出力する方法を取った。
公演は当初13日16時のみだったが、予約好調により19時の追加公演を決定、両ステージとも完売した(追加席発売予定)。ほかに12日を前夜祭として公開稽古を行なう。ネタバレしない程度なら、その場でのTwitter発信も可。13日には後夜祭も予定している。
短編6作品は関村氏の戯曲3本と新作1本、ほかに三谷麻里子氏(元・つめきり主宰)と櫻井智也氏(MCR主宰)が戯曲提供、関村氏が全編を演出する。俳優は多彩なカンパニーから15名が参加、制作スタッフも製作総指揮の松本氏のほか、制作・票券管理で7名が参加している。企画書も早期に用意され、演出助手として参加している詩森ろば氏(風琴工房主宰)が作成した。
Twitterから生まれた公演として、製作過程をすべて見せることに力を入れており、専用アカウントとハッシュタグのほか、公式サイト、まとめWiki、著名レビュアー「かわひ_氏」による詳細なTogetterまとめがある。
今回の事例で注目されるのは、12日間という通常では不可能と思われていた短期間で実際に公演を可能にしたことだ。ショーケースイベントを気軽に立ち上げて人材育成の場にするなど、新しい制作スタイルへの応用が考えられる。急な劇場キャンセルや出演者降板など、ライブの舞台芸術に付き物のリスクを回避する可能性も示した。通常、公演直前の劇場キャンセルは劇場使用料が全額発生するはずだが、今回は特別な事情があったらしく、劇場側から「赤字補填をしたい」というツイートがあった。こうした赤裸々なツイートも、参加者の琴線に触れたのだろう。
タイムラインを見ていた観客からは、「信頼出来る演劇人が参加しているから興味を持った」「関係者のツイートが圧倒的で、観客がハッシュタグを使うような広がりがない」との冷静な指摘もあった。今回は話題性で完売を達成したが、制作者はTwitterで公演を立ち上げたこと=動員につながるわけではないことを意識し、公演規模に応じたプロモーションツールとしての活用を検討していく必要があるだろう。
公式サイト
http://www.setagaya-silk.com/anaume/
まとめwiki
http://wiki.livedoor.jp/miracle0613/
Togetterまとめ「project anaume まとめ(かわひ版)」
(1) http://togetter.com/li/25694
(2) http://togetter.com/li/26570