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AI・HALL(兵庫県伊丹市)の自主事業である高嶺格パフォーマンス公演(9/2~9/3)で、高嶺氏による「チラシ作るの、やめませんか?」と題した文章を掲載した特別チラシが配布されている。

文章では、劇場で配布されるチラシ束が重複したり、不必要で捨てられることが多いとし、すべての劇場と主催者にチラシ束廃止を呼び掛けている。配布方法を置きチラシに切り替え、観客が必要なチラシのみを持ち帰るようにすれば、「捨てられるチラシの数は激減するはず」としている。

チラシにはAI・HALL側も文章を寄せ、「我々は、劇場・公演主催者として『折込み』について再考する時期が来ているのではないかと考えています」とし、高嶺氏も参加するミーティングを開催、経過をウェブサイトなどで知らせていきたいとしている。舞台関係者、観客にも意見を求めている。

同チラシ自体は、わら半紙に簡易印刷されたもの。文章は同劇場サイトで全文読める。

AI・HALLサイト「(矛盾を抱えた)特別チラシ『チラシ作るの、やめませんか?』」
http://www6.ocn.ne.jp/~aihall/dance/takamine1.html

高嶺氏は1993年~97年にダムタイプにパフォーマーとして参加。メディアアーティストとして多数のインスタレーション、映像、造形作品を発表。内外のダンスシアターとのコラボレーションも手掛ける。京都造形芸術大学客員教授。

関西では、旅公演の現地制作を劇場が担当する文化が地元カンパニーにも「提携公演」という制度で広まり、劇場間のバーター折り込みが膨大になって、折込作業自体が限界に達していると言われている。こうした状況の中、HEP HALL(大阪・梅田)が2005年4月から折り込みを廃止(2005/3/11付本欄既報)、新しい宣伝方法の模索が始まっている。

東京では「提携公演」は少ないが、ネビュラエクストラサポート(Next、東京都新宿区)に代表されるチラシ折込代行や、こまばアゴラ劇場(東京・駒場)と王子小劇場(東京・王子)のバーター折り込みが始まるなど、チラシ束は重視されている。その一方で厚くなるチラシ束に関係者から疑問の声も上がっており、制作者の大きな関心事になっている。関西の動向に注目したい。