この記事は2001年3月に掲載されたものです。
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レパートリー
一般的には興行の演目を指す。例えば「このカンパニーはレパトーリーの幅が広い」のように使う。そのカンパニーによる創作作品の場合は、オリジナルレパートリーと呼ぶこともある。演劇では単なる演目ではなく、そのカンパニーや劇場が得意とする作品、目玉とする作品をレパートリーと呼ぶ傾向が強い。
ここから派生して、狭義で戯曲そのものを指すこともある。主に関西小劇場界(特に京都)の用法で、「あの作家のレパートリーは……」のように使い、短縮して戯曲をレパと呼ぶ。
一方、レパートリーシステム、レパートリー公演という用語がある。これは同一カンパニーが複数の演目を日替わりや週替わりで上演する公演形態で、海外のオペラハウスでよく見られる。これに対し、同じ演目を繰り返し上演することをオペラではスタジオーネシステムと呼んでいる。演劇でいうロングランシステムである。
演劇におけるレパートリーシステムは、20世紀初めのイギリスでのレパートリーシアター運動に遡る。これは演劇の図書館をつくろうという理念で、一つの劇場で様々な作品を観られるようにしようとしたもの(カンパニーは劇場に所属していたため、演目は固定化されていた)。興行面の効果はもちろんだが、作品が頻繁に変わるとカンパニー側にも継続的な創作活動が求められ、若い演劇人が育つという側面があった。伝統的なシェイクスピア作品中心の世界で、劇作家にとっては新しい作品を発表する絶好の場でもあった。
日本では、SPAC(財団法人静岡県舞台芸術センター、俳優やスタッフも所属する)が週末日替わり公演を2000年11月~2001年1月に実施し、日本初の本格的レパートリー公演として話題になった。