この記事は2007年3月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。
Producers meet Producers 2006 地域の制作者のための創造啓発ツアー/参加者リポート(7)伊藤達哉氏を取材して
●分割掲載です。初めての方は概要から順にご覧ください。
PmP2006参加者リポート
「独自の手法で積極的な全国ツアーを敢行する
阿佐ヶ谷スパイダースを取材」
ゲスト:伊藤達哉氏
阿佐ヶ谷スパイダース制作代表
セッション概要
PmPレポート
中井久美
演劇ユニット体温
報告日:2006/06/19
広島から、中井です。
10分遅刻です。申し訳ございません。
皆さんの文章を読ませていただいていると、
文章能力のなさを痛感します……と、
落ち込みつつ、レポートを提出します。
このツアーのお話をいただいたとき、「どうしよう! こわい!」という気持ちと「やった! 行きたい!」という気持ちが入り混じって、とても複雑な思いでした。
これまで広島で演劇制作をやってきましたが、自分のやってきたことは正しいのか、全国で通じるものなのか、自信がなかったことが怖さにつながっていたのだと思います。それと同時に、このツアーに参加することで、これまでの自分、これからの自分について、何かが見えてくるかもしれないという期待もありました。これが「行きたい!」です。
また、これまで広島の中で、広島に住む人たちに向けて演劇活動をやってきた私にとって、他地域から広島がどう見られているのかも気になるところでした。
さて、実際参加してみて……まずは担当セッションについて。
広島の二人が【セッション10:阿佐ヶ谷スパイダース制作:伊藤達哉さんへのインタビュー】を担当することになったのは、阿佐ヶ谷スパイダースが地域公演を展開していく初期の段階から広島公演を行っているということが大きな理由のひとつだと思いましたので、まずそのことはうかがいたいと考えていました。
このセッションに限らず、PmP全体を通して感じたことは「キーパーソンを探してつかまえる」ということでした。「人と人のつながり」とういことです。阿佐ヶ谷スパイダースが地域公演を本格的にはじめた最初の公演場所が広島であった所以も、いち早くその魅力を発見し、広島に紹介したいと勢力的に行動した方の存在が大きかったのだそうです。
その場所で公演を成功させるために、組むべき相手をきちんと探してつながっていくこと。それが他地域公演成功のポイントだとわかりました。
あと、私が一番すてきだなと思ったのは、長塚氏と伊藤氏の関係です。長塚氏の作品世界をこよなく愛している伊藤氏と伊藤氏を信頼している長塚氏の関係が、お話を聞いていてとても伝わってきました。
次に、PmP2006全体を通しての感想です。
ゲストの方々のお話はみな「熱」を感じるものばかりで興味深く、朝方まで仲間たちと語りあかした数時間後という状態でも、眠気が私を襲うことはありませんでした。それどころか、その「熱」に影響されて頭のなかがフル回転している自分がいました。特に最終セッションの笹部氏のお話は、「そのまま頑張ればいいんだよ」とそっと背中を押してもらったような気がして、「熱」にうかされていた私は思わず涙ぐんでしまいました。
他地域の制作者と交流することもそうですが、広島には制作者自体が本当に少ないので、自分以外の制作者と交流することが、今回のツアーの大きな楽しみでした。3日間、移動時間も惜しんで参加者の方々とお話させていただいて一番感じたこと、それは「広島」が演劇の世界でいかに認知されていないかということでした。
「このツアーに参加した7地域の中で、広島が一番意外だった」
「参加地域をあててみてと言われたとき、広島だけは当たらなかった」
「広島には、おもしろそうなことがあるんだったら行ってもいいけど……」
「広島と何かやりたいと思ったとき、どこに言えばいいのか、誰に言えばいいのかわからない」
などなど……。
このことは私に少なからず衝撃を与えました。これまであまり他地域とつながろうとしてこなかったわけですから、当然といえば当然なのですが、ここまではっきり言われてしまうとは……。
私のできることって何だろうと考えました。今も考えています。具体的な答えは、はっきりとは出ていませんが、キーワードはやはり「人と人のつながり」なのだと思います。自分から出て行くこと、そして招き入れる環境を作ること。今の自分にできることは何か、これからもPmPで感じた「熱」を忘れずに考えつづけ、また行動していきたいと思います。
この夢のような企画を実現してくださった荻野さんをはじめ、事務局の皆様、ありがとうございました。そしてPmPで出会った仲間たち、この出会いを大切に、きっとどこかでつながっていけると信じて、またお会いできる日を楽しみにしています。
PmP2006レポート
金沢章子
@label
報告日:2006/06/18
広島の金沢です。
あれから、すでに2週間の日々が過ぎましたが。
今、抱えている演劇イベントの来週の開幕に向け、相変わらず試行錯誤に奔走している日々の中で、とにかく折に触れ、まざまざと甦ってくるあの3日間。
荻野様、事務局の皆様、そして、あの日々に偶然か必然か出会ったかけがえのない仲間たち。(アタシは皆さんを「心の友」と認識しています笑)本当に、ありがとうございました。あの場に居合わせたことは、本当に意義のあるまた幸せなことでした。
さて、そんなわけで、レポートですが。
言葉はすぐには出てこない。まだまだ整理のついていない、頭ん中を、今、必死にサッカーのキックオフの笛の音とともに、スタートさせてみました。ひとつひとつのセッションの中身はこれからも時間をかけて反芻し咀嚼するとして。来月には広島でも、地元の多くの芝居人たちに、とにかく濃密だった3日間の内容を!これから盛り上がっていきたい広島と、そして他地域とを繋げていきたいという想いのもとに、報告会を開こうとは、相棒のクミさんと帰り着いて2日目に決めたことでした。
私たちが担当させていただいた
【セッション10】阿佐ヶ谷スパイダース制作代表 伊藤達哉さん について。
初めてお会いした伊藤さんは、それはそれは温かい空気を纏った方で。こちらが事前に準備したレジュメに添って、ご自身も準備をなさってきてくださった様子がよく分かり、その心遣いに痛み入りました。決して饒舌な方ではなく朴訥とした印象すら覚えますが、ひとつひとつ、吐かれる言葉には、想いが宿っている、というか、とても力強いものを感じました。そして眼差しがこれまた熱い。参加者からの質問も、真摯に受け止めて返してくださいました。一方で、冷静に事柄を判断するクールな頭をお持ちで。阿佐ヶ谷スパイダースの地方公演の展開に沿って、具体的な経験談を元に端的にお話いただきました。いかに、そこにいる、地方現場のキーパーソンと関係を築けるかということが、公演を大きく左右するのだということを思い知らされました。あと、絶対的だったのが、自分の目的が明確。何を大事にしてるのか、主宰作家作品への強い愛情と自信と誇りが一言で伺えました。ストレートで、余念がない。まっすぐな志が、公演の成功を導き出すのだろうと思われた一コマでした。
PmP全体を通して
どのゲストからも感じたことは、制作は方法論だけでは成り立ち得ない、心意気と、人と人との関係性の構築、ということだった。人×人でしか、ない。才能と才能、魅力ある人と人を出会わせること、繋げること、そのことが楽しいし、それを幸せだと感じてやってきたアタシは、今回のツアーで一気に心強くなり、ますます使命感に燃え、今度は、とにかくお客様と舞台を出会わせるために必死です。もちろん他地域の仲間たちとともに。これからがPmPの面白いところです。
皆様どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。
でわ、後半残り少なくなったジーコジャパンの行方をしばし追いたいと思います。
また連絡いたしますね。
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