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公演が週末に偏りがちな大阪の劇場で、平日の公演を促進させるための動きが相次いでいる。劇場稼働率という経営上の命題に立ち向かうと共に、仕事帰りの観客を取り込んで演劇文化を身近に感じさせるために、平日に公演があることが当たり前の街にすることが、東京以外の各都市では強く求められている。

先頭に立ったのは、2003年から舞台芸術祭「SPACE×DRAMA」を開始したシアトリカル應典院(大阪・谷町九丁目)。若手カンパニー対象に月~水3日間の平日公演で競わせ、平日興行の可能性を体験させた。

次に動いたのがHEP HALL(大阪・梅田)。丸山啓吾プロデューサーが平日公演を支援する「HEP HALL Early Week Project」を推進、「平日を、楽しもう。」のキャッチコピーで提携公演を打ち始めた。03年10月と12月のpinkish!(本拠地・兵庫県伊丹市)プロデュースを皮切りに、11月には劇創ト社(本拠地・奈良市)も行なわれた。今年5月には劇団G:フォレスタ(本拠地・兵庫県尼崎市)の火~木3日間公演が決まっている。

丸山プロデューサーは「昔にくらべると人の生活スタイルもずいぶん様変わりしました。『平日にもお芝居を観たい』『平日の方が観やすいのに』という方も大勢いらっしゃるはず。でも大阪では週の前半に上演されているお芝居の公演はほとんどありません」と説明し、「勇気ある作り手たち(平日公演って劇団にとってはかなり勇気がいるんです)とタッグを組んで、平日をどんどん楽しくして行きます」と宣言している。

劇団G:フォレスタサイト「やさしさを取り戻す時に」
http://www.age.ne.jp/x/g-forest/foresta/8th/info.html

さらに1月19日に04年度からの活動内容を発表した「JUNGLE in→dependent theatre」(ジャングル・インディペンデントシアター)(大阪・日本橋)は、「JUNGLE Weekday Frontier」「JUNGLE CONTribute」という2種類の平日公演支援プログラムを新設、平日公演に対して劇場費減額などを図ると共に、観客に対しても「Weekday Frontierパス」の発行を計画している。このパスは、平日公演を推進する他劇場にも働きかけていきたい考え。

同劇場ではロングラン公演の支援プログラム「JUNGLE Pre-Longrun-Project」も新設し、将来的に数週間規模の公演を目指すカンパニーの経験の場として、劇場使用10日間・公演7日間の共同製作も始める。第1弾として6月にGiant Grammy(本拠地・大阪市)が決定している。

JUNGLE in→dependent theatreサイト「2004/1/19 PRESS RELEASE」
http://jungle-scs.co.jp/jp/theatre/pr0001.htm

同劇場の相内唯史プロデューサーは自身のウェブログで、丸山プロデューサーと應典院の西島宏プロデューサーに平日公演の劇場間協力を申し入れたことを明らかにしている。

演劇プロデューサーのつぶやき「2004/1/19 業務日誌」
http://at-will.jp/mt/archives/000034.html

劇場閉鎖問題で稼動率と観客創造の重要性を痛感したはずの大阪で、本格的な平日公演の機運が出てきたことは評価に値する。こうした劇場側の意欲に応えるカンパニーが続くことが、大阪の小劇場界の活性化には欠かせないだろう。