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■動静

仙台の演劇人に愛され、公演会場にも使われた居酒屋「あべひげ」店主・阿部立男氏が、12月21日亡くなった。公式サイトの掲示板には、全国の演劇人から書き込みが続いている。

朝日新聞名古屋本社版12月25日付夕刊が東海地域の演劇回顧を掲載(青山祥子記者)。原智彦氏(ハポン劇場project)の『草枕』『ダンス・タンス・ダンス』を絶賛。榊原忠美氏(劇団クセックACT)の朗読劇『袈裟と盛遠』も高評価。地元一番人気は劇団あおきりみかん。名古屋市文化振興事業団オリジナルJAZZミュージカル『トーキー・トーキー』、AAFプロデュース『船酔いバッハ』も「演劇土壌や作品観の違いを乗り越えてプロデュース公演の可能性や方向性を模索した力作」とした。

朝日新聞西部本社版12月25日付夕刊が「回顧2009 九州・山口・沖縄」舞台を掲載(佐々木達也記者)。永山智行ディレクターによる宮崎県立芸術劇場「演劇・時空の旅」シリーズを特筆、北九州芸術劇場制作作品と共に九州各県の巡演が出来ないかとしている。福岡市文化芸術振興財団『なにもしない冬』、ダンス中心の山口情報芸術センターが初めて演劇制作した『PARK CITY』も評価。地元カンパニーの巡演状況にも字数を割いた。作品では劇団0相(熊本市)『ギムナジウム』、沖縄の演劇人が結集した沖縄県北谷町+同町教育委員会『かじまやー カメおばあの生涯』(演出/栗山民也)、元銀行支店を劇場化したのこされ劇場≡(北九州市)。トピックは九州戯曲賞創設。

読売新聞西部本社版12月25日付夕刊が「2009年回顧」演劇を掲載(臼山誠記者)。「演劇・時空の旅」シリーズを特筆。空間再生事業 劇団GIGA(福岡市)『蝿』、飛ぶ劇場(北九州市)『睡稿、銀河鉄道の夜』、福岡演劇フェスティバルFFAC企画創作コンペティション、楽劇ねっと~風来~(福岡県)『近代能楽集』などを挙げた。トピックは万能グローブガラパゴスダイナモス(福岡市)の1か月ロングラン、ギンギラ太陽’s(福岡市)全国ツアー、九州戯曲賞創設。

ラッパ屋(本拠地・東京都)が本格的に公演再開に動いている。02年から1~2年に1本のペースになっていた本公演だが、10年は1997年以来となる年2回の新作公演とし、11年もすべて新作で勝負するという。朝日新聞東京本社版12月28日付夕刊で主宰の鈴木聡氏が「小劇場再興」を宣言している。

asahi.com「『小劇場再興』宣言 劇作家・鈴木聡 来年1月に『世界の秘密と田中』」
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY200912280320.html

12月19日~20日に佐賀県基山町民会館大ホールで開かれた九州高校演劇研究大会(主催/九州高校演劇協議会ほか)で、20日午前9時20分ごろ、ステージの上約9メートルに吊るされていた約35キロの木製看板が落下。客席最前列の女子高生4名が軽傷を負った。佐賀県警鳥栖署は業務上過失傷害の疑いで調べている。20日の大会は28日に延期された。

YOMIURI ONLINE「九州高校演劇大会で看板落下、女生徒4人がけが」
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20091221-OYS1T00187.htm

■イベント

精華小劇場活用実行委員会+精華演劇祭実行委員会+大阪市『イキシマ breath island』

精華小劇場(大阪・難波)がオープン5年で初の自主製作『イキシマ breath island』(テキスト/松田正隆、演出/松本雄吉)を2月18日~28日上演。丸井重樹プロデューサー。

満員御礼が続く仙台のリーディング演劇祭「杜の都の演劇祭2009」(2009/10/30付ケーススタディ既報)で、アンコールプログラム追加公演が1月16日~24日に決定。

10年春開催の第4回福岡演劇フェスティバルチャンス枠は、謎のモダン館(本拠地・長崎市)、非・売れ線系ビーナス(本拠地・福岡市)に決定。

コンカリーニョ(札幌・琴似)が5月20日~23日にプロデュース公演『歯並びのきれいな女の子』(演出/泊篤志、飛ぶ劇場)。6月にツアーの可能性あり。小室明子プロデューサーが、08年にリーディング公演した戯曲講座作品を本公演に育てる。

■劇場・稽古場

橋下徹大阪府知事は大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)の通天閣への移転を断念、現状での存続を12月28日表明した。ただし入館者数が目標に達しなければ、11年度で閉館するという。これを受けてワッハホールは10年11月分までの受付を行なっている。

asahi.com「ワッハ上方は現地で存続 橋下知事、通天閣への移転断念」
http://www.asahi.com/national/update/1228/OSK200912280083.html

演劇ホールを備える仙台市宮城野区文化センターの工事請負契約が仙台市議会12月定例会で可決、着工へ。入札企業の指名停止や応札なしが続き、6回目の入札でようやく決定した。12年3月オープン予定。

河北新報ニュース「仙台・宮城野区文化センター 入札6回でやっと着工へ」
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/12/20091229t11023.htm

■賞

第5回近松賞(主催/兵庫県尼崎市)は該当なし。優秀賞もなしは創設以来初めて。

第16回OMS戯曲賞(主催/大阪ガス)の最終選考会・公開選評会が12月25日開かれ、7月に水難事故で亡くなった大竹野正典氏の遺作『山の声』が大賞(賞金30万円)、土橋淳志氏『裏山の犬にでも喰われろ!』が佳作(同10万円)。

第54回岸田國士戯曲賞(主催/白水社)最終候補作発表。最終候補7作品は江本純子(劇団、江本純子)『セクシードライバー』、神里雄大(岡崎藝術座)『ヘアカットさん』、柴幸男(ままごと)『わが星』、野木萌葱(パラドックス定数)『五人の執事』、福原充則(ピチチ5)『その夜明け、嘘。』(TBS)、前川知大(イキウメ)『見えざるモノの生き残り』、松井周(サンプル)『あの人の世界』。全作品小劇場系の若手となった。最終選考会は2月8日。

■サービス

マイナーな舞台芸術中心に扱うチケット販売サイト「チケ」が12月21日オープン。運営はアプラウソ株式会社(神戸市)。URLの「11493」は「イイ仕組み」の意味。銀行振込後、チケットの発券は行なわず、チケット引換メールの提示による取り置きのみ。