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劇場閉鎖が相次ぐ大阪市で、元・精華小学校体育館(難波)を劇場にする精華小劇場事業。関西小劇場界期待の公共ホールは、今年度予算に改修費約1億8,400万円が計上され、10月着工・来年3月完成・来夏オープン予定で進んでいるが(2003/2/14付本欄既報)、準備費が予算になく、運営方針やスタッフの体制を決めることが出来ないでいる。運営は大阪市立芸術創造館(大阪市旭区)と同様に財団法人大阪都市協会に委託する予定だというが、プロデューサー制を敷くかなど、その先が手つかずの状態だ。産経新聞大阪本社版6月25日付夕刊が報じた。

記事は同じく旧明倫小学校を転用した京都芸術センター(京都市)や、特色ある運営で知られるAI・HALL(兵庫県伊丹市)の例を紹介。小堀純氏(編集者)や津村卓氏(財団法人地域創造芸術環境部プロデューサー)のコメントも載せ、ソフト面の重要性を強調している。

こうした動きに、大阪現代舞台芸術協会(DIVE)は3月末に磯村隆文市長に要望書を提出、予算なしでも始められる事前の準備委員会発足などを提案しているという。

記事は「演劇人や地域住民の思いをくんだ劇場として存在できるかどうか、今が正念場だ」「今、すべきこと、できることは山積している」など、行政に対する厳しい論調で貫かれており、最近の関西の文化行政に関する新聞記事では出色。確かにオープン1年前に運営方針が決まっていないようでは、柿落としのラインナップも危うい。取材は大阪本社文化部・伐栗恵子記者。