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津あけぼの座と三重県文化会館(共に津市)が官民の枠を超えて共同主催した、まちなか飲食店リーディング公演「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」(2011/9/19付本欄既報)が、全公演とも満席で終了した。仙台市で2008年から開催されている「杜の都の演劇祭」(主催/同プロジェクト)(2009/10/30付本欄既報)のノウハウを使い、津市内4か所の飲食店と寺院を会場にしたもので、11月22日~25日の夕食時に上演された各会場(定員30名)は完売、11月26日の津あけぼの座でのリーディング4作品一挙上演も追加席を出し、定員50名が埋まった。この盛況に、主催者側は来年は規模を拡大しての開催を表明している。

こうした企画では作品だけでなく、会場と料理の魅力を伝える宣伝美術が重要だ。「杜の都の演劇祭2010」では会場となった8軒を紹介するリーフレットと店ごとのポストカードを用意したが、「M-PAD2011」も同様の宣材で普段演劇を観ない人の興味を掻き立てた。今回は各会場1回のみの上演だったが、次回は「杜の都の演劇祭2010」が行なった複数日公演、平日20時半開演も目指してほしい。

津あけぼの座+三重県文化会館「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」リーフレット リーフレット

津あけぼの座+三重県文化会館「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」リーフレット

津あけぼの座+三重県文化会館「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」リーフレット

津あけぼの座+三重県文化会館「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」ポストカード 津あけぼの座+三重県文化会館「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」ポストカード 津あけぼの座+三重県文化会館「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」ポストカード 津あけぼの座+三重県文化会館「M-PAD2011 おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた」ポストカード ポストカード

まちなか飲食店リーディング公演の意義は、本公演に比べて格下に思われているリーディング公演に新しい価値観を与え、飲食とパッケージにすることで観劇スタイルの提案をすることにある。日本では公共交通機関や飲食店の時間の制約で、観劇の前後にゆっくり食事を楽しむことが難しい。小劇場演劇でも飲食と共に観劇する機会を提供することで、新しい演劇との過ごし方が生まれる。これまで小劇場演劇での飲食は、会場がライブハウスなど限られた場合にしか行なわれてこなかったが、まちなか飲食店リーディング公演が一般化することで、小劇場演劇との接点がもっと増えてほしい。

劇場での本公演とは別に、こうした観客が普段足を運ぶ場所でのリーディング公演こそが、いま必要な創客活動ではないか。他地域から参加したshelf(本拠地・東京都世田谷区+名古屋市)、第七劇場(本拠地・東京都豊島区)、このしたやみ(本拠地・京都市)は、この意味を充分理解しているのだろう。

会場には「杜の都の演劇祭」の鈴木拓プロデューサーも訪れ、津での開催を見守った。こうした飲食店を使ったリーディング公演は、全国どこでも開催可能だ。観客が演劇に触れる入口として、多くの街に広がってほしい。東日本大震災の影響を受けた「杜の都の演劇祭2011」は、年度内の開催を目指して準備中だという。こちらの開催も見守りたい。

津あけぼの座「M-PAD2011」
http://akebonoza.net/mpad2011.htm

三重県文化会館「M-PAD2011」
http://www3.center-mie.or.jp/center/bunka/event_c/2011/mpad.html

「M-PAD2011」公式ブログ
http://mpad.exblog.jp/

杜の都の演劇祭公式サイト
http://www.morigekisai.com/