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名古屋市文化振興事業団+名古屋市千種文化小劇場(ちくさ座)「千種セレクション」

名古屋市文化振興事業団と名古屋市千種文化小劇場(ちくさ座)が2月18日~27日に初開催した「千種セレクションvol.1~あなたは劇場と恋をする~」は、名古屋・東京の4団体を2団体ずつ連続上演し、1枚のチケットで2団体鑑賞可能とした。それぞれ上演時間約60分の独立した作品だが、1作品ごとの販売はせず、敢えて2作品同時鑑賞にこだわった。

同セレクションは、「地元と全国を結ぶ創造の拠点」をコンセプトに掲げる同劇場が、その集大成として「地域の距離を縮める演劇祭」として企画したもの。地元・名古屋と東京の団体をセットにしたチケットを発売することで、観劇機会を増やす試みと言える。参加団体は劇場側がこれまでの活動実績を元にセレクトした。

2月18日~20日はよこしまブロッコリー(名古屋)とshelf(東京)、2月25日~27日はトライフル(名古屋)と第七劇場(東京)の組み合わせ。shelfは名古屋にも事務所を持ち、準本拠地としている。トライフルは片山雄一氏(NEVER LOSE、東京)が名古屋でレジデンスしながら結成したユニットで、これが旗揚げとなった。

参加団体の主催公演における前売料金は2,000円~3,000円だが、今回のチケットは2団体鑑賞可能で3,500円とし、割安感を演出した。4団体鑑賞可能のチケットは6,000円とし、さらに複数名で来場すると500円のキャッシュバックを行ない、実質5,500円とした。1団体1,375円で観られる計算となる。

関連企画としてシンポジウム「地域はさらに近づいていく」、同劇場の利用者と管理者が意見交換する「ちくさ会議」、成果発表会を伴うワークショップなども開かれ、すべてに参加4団体の演出家全員が参加した。これも評価すべき点だろう。

読売新聞中部本社版2月12日付朝刊(愛知版)によると、企画のきっかけは東海シアタープロジェクト(名古屋)が2006年11月に同劇場で行なった「366.0 project」(2006/8/22付本欄既報)のスペシャルアクト「4×2」という特別公演。そこで名古屋初公演をしたNEVER LOSEを筒井淳一館長代理が目にして、「30代の中堅層が薄い東海地区の演劇状況に刺激を与えてくれそう」と感じた。

同劇場はその後、「366.0 project」による07年3月の「廃校/366.0」名古屋公演会場になった(2007/1/23付本欄既報)。同プロジェクトの人脈が今回も活かされており、「366.0 project」が種を蒔いた成果と言っていいだろう。

詳細は特設サイト参照。

※「366.0 project」については、fringe発行のパンフレット「地域を超える制作者 小劇場から生まれる演劇公演の新しいカタチ」収録の大橋敦史氏(東海シアタープロジェクト代表)寄稿も参照のこと。

パンフレット「地域を超える制作者 小劇場から生まれる演劇公演の新しいカタチ」公開ページ