この記事は2015年9月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。
【2015年9月更新】助成金の探し方/ファンドレイジングの方法(2)
●分割掲載です。初めての方は(1)から順にご覧ください。
- 行政や公共ホールが行なっている公的助成制度を探す
行政や公共ホールが行なっている助成制度は多数あります。データベースでは漏れがあったり、最新情報が反映していません。このため、必ず当該サイトを巡回してキャッチアップしましょう。
- 都道府県・政令指定都市の文化振興サイトで助成制度を探す
文化行政担当部局が運営している文化振興サイトには、都道府県・政令指定都市が所管する助成制度が書かれています。都道府県の文化振興サイトなら、自治体の助成制度一覧がまとめられている場合もあります。
この場合の自治体は、カンパニーの住所がある自治体とは限りません。公演地の自治体が助成する場合もあるため、実際に公演を行なう自治体の助成制度も必ずチェックしましょう。旅公演の場合は、旅公演先の自治体も必ずチェックしましょう。
- 外郭団体のサイトで助成制度を探す
自治体の多くが公共ホールを運営する外郭団体(「芸術文化振興財団」と名乗ることが多い)を設立し、助成制度の運営や公共ホールの劇場費減免制度などを行なっています。公共ホールの運営を指定管理者が行なう場合もあります。このため、公演を行なう自治体の外郭団体・指定管理者のサイトは、旅公演先も含めてすべてチェックしましょう。
(例)東京都世田谷区に住所があり、世田谷区・横浜市で公演を行なっているカンパニーが大阪市で公演する場合のチェック先 文化振興サイト 外郭団体・指定管理者 東京都 東京都の文化政策(東京都生活文化局文化振興部)
アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 世田谷区 世田谷区ホームページ「文化」 せたがやアーツナビ(公益財団法人せたがや文化財団)
世田谷パブリックシアター(公益財団法人せたがや文化財団)神奈川県 神奈川県ホームページ「県民局くらし県民部文化課」 神奈川総合文化芸術情報ホームページ「かな@」(公益財団法人神奈川芸術文化財団)
神奈川芸術劇場(公益財団法人神奈川芸術文化財団)横浜市 横浜市文化観光局サイト ヨコハマ・アートナビ(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
ヨコハマアートサイト(横浜市文化観光局+公益財団法人横浜市芸術文化振興財団+NPO法人STスポット横浜)
アーツコミッション・ヨコハマ(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
ヨコハマ創造都市センター(NPO法人YCC)
STスポット(NPO法人STスポット横浜)大阪府 大阪府ホームページ「都市魅力創造局文化課」 大阪アーツカウンシル(大阪府市文化振興会議) 大阪市 大阪市ホームページ「経済戦略局」 大阪アーツカウンシル(大阪府市文化振興会議)
大阪市立芸術創造館(LLPアートサポート) - 都道府県・政令指定都市の文化振興サイトで助成制度を探す
- クラウドファンディングを利用する
インターネットを活用した小口の寄付金を広く募る手法で、多くのサービスサイトが開設されています。日本では金融商品取引法に抵触しないよう、なんらかの特典を購入する形式が多いようです。掲載には一定の審査があり、サイト側は10%~20%程度の手数料を取ります。舞台芸術分野での利用が多いサイトは以下のとおりです。
- CAMPFIRE「演劇・ダンス」
- MotionGallery「演劇・ダンス」
- COUNTDOWN「演劇・ダンス」
- READYFOR(舞台芸術に特化したカテゴリーはないが、日本初で取扱高最大のクラウドファンディング)
パルコも2014年12月にクラウドファンディング事業へ進出しました。
- 特定公益増進法人を経由することで寄付金を集めやすくする
クラウドファンディングは購入型の資金調達ですが、支援者の目途が立っているのなら、純粋に寄付金としてもらったほうがスマートです。しかし、日本の寄付税制では支援者が特定公益増進法人以外の芸術団体に直接寄付しても寄付金控除の対象になりません。これを解決するため、まず公益財団法人などの特定公益増進法人に寄付を行ない、その同額を特定公益増進法人が芸術団体に助成金として交付する方法があります。下記の2制度は、助成先を直接指定出来る代表例です。
- 公益社団法人企業メセナ協議会「助成認定制度」(申請締切は年4回、公演3か月以上前に申請)
利用手数料1万円、10件ごとに1万円の追加手数料が必要。 - 公益財団法人関西・大阪21世紀協会「アーツサポート大阪」(助成先を指定する「特定型」は随時)
特定型の寄付金は5万円以上。
法人・個人とも税制優遇(寄付金控除)の対象となるため、まとまった金額の寄付が見込める場合は、クラウドファンディングよりこちらがオススメです。
- 公益社団法人企業メセナ協議会「助成認定制度」(申請締切は年4回、公演3か月以上前に申請)
- 海外公演なら国際交流基金「文化芸術交流海外派遣助成」「パフォーミング・アーツ・ジャパン」に申請する(「文化芸術交流海外派遣助成」は毎年10月~12月に翌年度実施分を申請、応募状況によって春に追加募集の場合あり。「パフォーミング・アーツ・ジャパン」は毎年10月に翌年度実施分を申請)
独立行政法人国際交流基金は文化芸術交流を主要活動の一つとし、芸術団体の海外公演を積極的に支援しています。基本は国際移動費・輸送費の一部を助成する「文化芸術交流海外派遣助成」ですが、国際交流基金の欧米拠点が管轄する「パフォーミング・アーツ・ジャパン」は助成対象経費が広がります。いずれも任意団体が申請可能で、若手カンパニーでも多くの採択実績があります。複数国・都市への効率的な巡回ツアーや国際演劇祭への参加は相対的に高い評価が得られ、「文化芸術交流海外派遣助成」は知名度の低いカンパニーでも充分チャンスがあります。
(参考)2015年度実績 応募 採択 採択率 「文化芸術交流海外派遣助成」第1回募集(演劇以外含む) 255件 92件 36% 「文化芸術交流海外派遣助成」第2回募集(演劇以外含む) 未公表 未公表 未公表 パフォーミング・アーツ・ジャパン(北米)巡回公演(演劇以外含む) 12件 4件 33% パフォーミング・アーツ・ジャパン(北米)共同制作(演劇以外含む) 12件 4件 33% パフォーミング・アーツ・ジャパン(欧州)巡回公演(演劇以外含む) 5件 3件 60% パフォーミング・アーツ・ジャパン(欧州)共同制作(演劇以外含む) 9件 4件 44% (参考)2014年度実績 応募 採択 採択率 「文化芸術交流海外派遣助成」第1回募集(演劇以外含む) 213件 96件 45% 「文化芸術交流海外派遣助成」第2回募集(演劇以外含む) 未公表 44件 未公表 パフォーミング・アーツ・ジャパン(北米)巡回公演(演劇以外含む) 11件 5件 45% パフォーミング・アーツ・ジャパン(北米)共同制作(演劇以外含む) 16件 5件 31% パフォーミング・アーツ・ジャパン(欧州)巡回公演(演劇以外含む) 16件 7件 44% パフォーミング・アーツ・ジャパン(欧州)共同制作(演劇以外含む) 14件 5件 36% 国際交流基金の募集案内トップページは下記です。
国際交流基金ウェブサイト「助成申請について」 - 海外公演で覚えておきたいこと
経済界、ヨーロッパ各国駐日大使が支援するNGO「EU・ジャパンフェスト日本委員会」では、「EU・ジャパンフェストプログラム」として舞台芸術を積極支援しています。公募はしていませんので、ヨーロッパ公演を計画している場合はぜひ問い合わせましょう。
公益財団法人セゾン文化財団が、急な渡航費が必要になった場合の支援プログラム「フライト・グラント」を2015年度から新設しました。海外から招聘された公演、アーティスト・イン・レジデンス、会議出席などで、航空運賃の支給・支援がない場合が対象です。
- 社会貢献活動に積極的な企業を探す
一つの目安として、経団連が設立した「1%(ワンパーセント)クラブ」があります。これは経常利益や可処分所得の1%相当額以上を自主的に社会貢献活動に支出しようと努める企業や個人の有志から成る団体です。加盟各社の社会貢献活動サイトへのリンク集があります。
- 文化庁所管以外の公的助成金を探す
芸術文化は文化庁と日本芸術文化振興会、国際交流は外務省と国際交流基金の所管ですが、それ以外の視点で公的助成金を探しましょう。思わぬ助成金がヒットすることもあります。
- 経済産業省所管
町おこし、にぎわい創出など、演劇は経済に寄与出来るはずです。 - 厚生労働省所管
上演中の託児環境整備、目や耳が不自由な方へのサポート、観劇によるワークライフバランスなど、接点は多いと思います。 - 国土交通省所管
演劇や演劇祭は、それ自体が重要な観光資源になるはずです。 - 総務省
一般財団法人地域創造は文化・芸術の振興による地域づくりがミッションです。自治体に対する支援ですが、芸術団体が加わることもあります。
- 経済産業省所管
- 経済産業省(中小企業庁)「地域商業自立促進事業(地域コミュニティ形成促進支援事業)」(毎年6月と9月に申請)
枝光本町商店街アイアンシアター(北九州・枝光)が、劇場リニューアル費用の2/3(約2千万円)をこの補助金でまかないました。
(参考)fringe watch「北九州・枝光本町商店街アイアンシアターが正式な劇場としてリニューアルオープン、経済産業省(中小企業庁)補助金で2/3をまかなう」 - 厚生労働省「職場意識改善助成金(所定労働時間短縮コース)」(毎年12月までに今年度実施分を申請)
法定労働時間が特例措置で長くなっている小規模(労働者が常時10人未満)な映画・演劇業(映写、演劇その他興行の事業。映画の製作の事業を除く)では、所定労働時間短縮のための活動や機器・ソフトウェア等の購入に助成金が申請可能です。
(参考)fringe watch「小規模な民間劇場なら厚生労働省「職場意識改善助成金(所定労働時間短縮コース)」に申請可能、労働時間短縮の活動や機器購入を50万円まで支給、システムや映像モニター導入に使ってみては」 - 助成金交付までのつなぎ資金がない
京都市、新潟市には、他の助成団体からの助成金内定者に対し、助成金交付まで上限300万円を無利息でつなぎ融資する制度があります。市外を本拠地とするカンパニーが市内で公演する場合も対象です。