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制作製作の使い分けには2種類ある。

まず一般用語としての使い方で、作品そのものをつくる場合に制作、作品中のモノをつくる場合には製作を用いる。大道具、小道具、衣裳などはモノに該当するので、大道具製作のように表記する。制作者は演劇そのものを制作するので、文字どおり制作となる。

制作という言葉は独立した一つの作品に対して使われる。劇中で使用されるモノであっても、その芸術性が高ければ製作より制作がふさわしい場合もある。例えば凝った映像を流す場合は映像制作という表記になるし、日本家屋の舞台装置で見事な襖絵をオリジナルで描いたのなら、それは特別に襖絵制作という表記をしてもいいだろう。

製作という言葉は実際につくる作業をイメージさせるので、大道具や衣裳のデザインワークに対してのクレジットをしたい場合は、舞台美術大道具製作衣裳デザイン衣裳製作に分けて表記すべきである。

次に制作者の立場による使い分けがあり、資金面の責任を負う場合に製作、そうでない場合に制作を用いる。英語なら前者がエグゼクティブプロデューサー、後者がプロデューサーである。スタッフが多く、役割分担も明確になっている商業演劇の場合は両者がクレジットされているが、小劇場のカンパニーでは両者を兼ねた制作チーフの下に制作助手がいるというパターンが多く、このような場合はプロデューサーと制作という表記にしているところもある。