この記事は2010年3月に掲載されたものです。
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ヘッドライン2010年3月27日
■動静
今秋にも本格化すると見られる劇場法(仮称)構想について、公演助成から劇場助成へシフトする平田オリザ氏の案について、演劇界内部から異論が出始めた。朝日新聞大阪本社版3月19日付夕刊で今村修記者が、「劇団への助成を早急になくすのは無用の混乱を生む」(西川信廣氏)、「劇場法の必要性は分かるが、平田案では劇場を通して劇団が管理されるようで不気味。歌舞伎にしてもアングラにしても、管理に対抗して出てきたのではなかったか」(流山児祥氏)などの声を紹介。充分な議論が必要としている。平田氏は「現在の劇団への助成は赤字補填だから劇団は赤字体質からなかなか抜け出せず、不正も生みやすい」とコメント。「作る劇場」「見る劇場」を指定した場合、「残念ながら大阪に『作る劇場』になれる施設は今は見あたらない」と答えている。
この記事を読んだ劇団態変(本拠地・大阪市)の金満里芸術監督は、個人ブログで「小演劇の、何のものにも制約されなずに自己の犠牲も責任も取る形を了解して、やろうとすれば自己の世界観を自由に世に問える完結した在り方、が壊されようとしている危機的な状況である」と強く疑問を呈している。
金満里の庭「演劇に政治が介入していいのか」
http://kimmanri.exblog.jp/13178906
まつもと市民芸術館(長野県松本市)の蔭山陽太支配人が、神奈川芸術劇場(横浜・山下町、11年1月開館予定)副館長に転身。後任のプロデューサー兼支配人に吉祥寺シアター(東京・吉祥寺)支配人の箕島裕二氏が就任。信濃毎日新聞3月23日付朝刊が報じた。
信毎web「まつもと市民芸術館の支配人に箕島裕二氏」
http://www.shinmai.co.jp/news/20100323/KT100322SJI090009000022.htm
情報誌『TOKYO1週間』『KANSAI1週間』(講談社)が6月8日発売号で休刊。フリーペーパーやネットに押され、部数減が続いていた。
YOMIURI ONLINE「『TOKYO1週間』6月で休刊…関西版も」
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20100324-OYT1T00441.htm
石橋文化センター(福岡県久留米市)が3月25日18時半ごろ~20時ごろまで全館停電。小ホールで19時半開演の劇団爆走蝸牛が公演中止となった。くるめ演劇祭参加作品。
■イベント
二兎社3年半ぶりの新作『かたりの椅子』(東京4/2~4/18=世田谷パブリックシアター、他8都市巡演中)が、新国立劇場演劇部門芸術監督問題に着想を得たものとして話題。同劇場運営財団執行部を批判して理事を辞任した永井愛氏が、その経験を活かしたものとして注目されている。
文学座附属演劇研究所が50周年。3月20日に文学座アトリエ(東京・信濃町)で「大同窓会」を開催した。
5月28日~8月29日に開催される「精華演劇祭2010 spring/summer」のラインナップ発表。他地域からの招聘は燐光群、渡辺えり一人芝居えりすぐり企画、柿喰う客(以上東京)、少年王者舘(名古屋)。
■助成金
日本芸術文化振興会が平成22年度芸術文化振興基金・芸術創造活動特別推進事業の採択結果を3月26日発表。基金は159件採択(21年度141件)で6,230万円増。事業は179件採択(21年度214件)。21年度の金額がネットで部門別に公表されていないため比較出来ないが、舞台芸術全体で6億6,060万円減。このため、基金・事業合わせた演劇部門への助成総額はマイナスと思われる。
基金の小劇場系高額採択は二兎社2作品(計1,150万円)、維新派(800万円)、モダンスイマーズ2作品(計700万円)など。首都圏・関西以外ではSENDAI座☆プロジェクト(500万円)、七ツ寺共同スタジオプロデュース2作品(計260万円)に注目。
事業は前制度の芸術団体重点支援事業・芸術創造活動重点支援事業時代を含めて個別金額をネットで初公表。重点支援事業時代からの団体が圧倒的に強く、それに舞台芸術振興事業時代の高額組が加わった様相。小劇場系では燐光群4作品(計4,460万円)が突出。tpt3作品(計2,220万円)、劇団唐組2作品(計1,960万円)、南河内万歳一座2作品(計1,890万円)、劇団スーパー・エキセントリック・シアター(1,780万円)、東京ギンガ堂(1,610万円)、弘前劇場2作品(1,590万円)などが続く。ヨーロッパ企画(900万円)など個別金額の判明で、事業の全体像が見えてきた。予算減の影響か、若手の新規採択は見当たらない。古城十忍氏の劇団ワンツーワークスが旗揚げから2作品採択(計650万円)、風琴工房が重点支援事業時代を含め初採択(240万円)。
■劇場・稽古場
横浜市の歴史的建造物(旧関東財務局)を06年5月から芸術文化施設に活用していたZAIM PROJECT(横浜・日本大通り)が、老朽化のため3月31日で終了。入居団体は移転先確保に追われている。再開には改修工事が必要だが、神奈川新聞1月9日付によると財政難で未定だという。活動報告書『ZAIM2006-2010 とりあえず…閉館します。』が横浜市芸術文化振興財団から2月25日出版された。
カナロコ「老朽化でZAIMが3月閉鎖、再開は未定/横浜」
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1001090012/
川崎市アートセンター(川崎・新百合ヶ丘)が公募していた平成22年度クリエイション・サポート対象カンパニー/アーティスト決定。単年度支援にテニスコート、継続支援に木野彩子氏。テニスコートは02年旗揚げの武蔵野美術大学出身のコントユニット。木野氏はAAPA(本拠地・東京都世田谷区)等で活動するコンテンポラリーダンサー。
11年春開業の新博多駅ビル・JR博多シティ9階にJR九州ホール(キャパ680名)新設。5月6日から11年5月利用分の予約受付開始。JR九州が3月17日発表。
■賞
平成21年度文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)が3月23日発表。北海道東川町、仙台市、群馬県中之条町、大分県別府市が受賞。仙台市はせんだい演劇工房10-BOXなどが評価された。
戯曲部門がある名古屋文化振興賞(主催/名古屋市文化振興事業団)が、財政難で平成21年度をもって廃止。名古屋市演劇練習館アクテノンの文化事業「アクテノンシニア演劇部」も廃止の見込み。読売新聞中部本社版3月20日付朝刊で中村桂子記者が嘆いている。劇場閉鎖に伴う「名古屋飛ばし」(2008/9/18付本欄既報)にも触れている。
YOMIURI ONLINE「相次ぐ廃止 ちょっと待って ――取材ノート」
http://chubu.yomiuri.co.jp/tokushu/c-bunka/c-bunka100320_2.htm
■サービス
パルコ『カフカの「変身」』(東京3/6~3/22=ル テアトル銀座 by PARCO、岡山・大阪・福岡・富山・新潟巡演)がTwitterで感想を募集。ハッシュタグ「#henshin_imp」で感想を書くと、壁紙・待ち受け画像のURL・パスワードがダイレクトメッセージでもらえる。感想はサイトや劇場ロビーで発表。
ファミリーマートがイープラスとの業務提携強化を3月19日発表。5月6日よりマルチメディア端末「Famiポート」で24時間直接発券開始。イープラスにとって初の直接発券。ぴあとの業務提携は5月31日で終了し、チケットぴあ扱いも同日までとなる。ぴあは6月1日よりセブンイレブンでの発券準備を進めている。