震災時の公演の可否について考えてきたが、今回のような大震災では、公演を続行しても「こんなときに観劇する気持ちになれない」「余震や停電が心配で外出したくない」という人が多数いる。公演が続行されると前売券の払い戻しはないため、こういう人にとっては「なぜ公演するのか」という心境だろう。このようなケースでは、他ステージへの振り替えで対応することが多いが、短期間では状況が変わらないかも知れない。結果的に「あのカンパニーは払い戻しをしたくないために公演した」と思われ、お互いしこりを残すことになる。残念なことだと思う。
どの業界でもそうだが、決済後の払い戻しは大きな痛手となる。演劇の場合、ほとんどのカンパニーが自転車操業で、ギリギリのキャッシュフローで演劇製作をしている。公演中止でも多額の支払いが待っている。そこで観客に払い戻しすると、プレイガイドへの手数料も上乗せされ、カンパニーの存続自体が危うくなる。
