阪神・淡路大震災のときにも議論されたことだが、こういうときこそ演劇の持つ力で被災地を励ますべきという考えや、それに対してなにも出来ない自分の無力感に打ちのめされるという思いが、演劇人の中にあると思う。
だが、これはカンパニーの作品世界によって全く異なるわけで、路上で誰でも楽しめるようなコンテンツを持っているのなら慰問公演をすればいいし、そうでなければ無理に被災地を訪れなくてもいい。すべてのカンパニーがそうしたコンテンツを持っているわけではないし、自分たちの本拠地でいつもどおり粛々と公演することも、被災地以外の日常を維持する意味で重要だと思う。fringeでも被災地で上演する団体への助成金を紹介しているが、これは情報として掲載しているわけで、被災地での上演を推奨しているわけではない。いますぐ被災地に直接関わらないことで、良心の呵責に苦しむ必要はない。
