上演中スマートフォンの「機内モード」を認めることに異議あり、なぜ「電源は必ずお切りください」にしないのか

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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上演中は携帯電話・スマートフォンなど、音の出る機器を電源から切るようお願いするのが一般的だが、小劇場で最近「電源から切るか、機内モードにしていただくよう」というアナウンスを聞くようになった。私の場合、今年に入って3公演で遭遇した。

最初に耳にしたときは、「なるほど、その手があったか」と思ったが、あとから考えると違和感が募っていった。確かに機内モードにすればキャリアの電波は入らないが、電源を切っているわけではないので、触れば画面が光るし、機種・設定によってはタイマー・アラーム音が流れる。音楽も再生可能だ。機内モードにしていてもWi-Fiをオンにすることは可能なので、アプリの通知音が流れる場合もある。

そういう意図しない動きをしてしまうリスクを考えると、「必ず電源をお切りください」で統一したほうが、よほど安全ではないだろうか。なにかの手違いで、自分が光や音を出してしまうかも知れないという心配はないのだろうか。私自身は余計な心配をせずに作品に没頭したいので、そのために電源を切っている。

今年3月、私の信頼する演劇ファンであるpeat氏が、Twitterで広く呼び掛けたアンケートがあり、20,532票の回答があった。その結果、電源から切っている人は54%で、残りは機内モードやマナーモードという結果になった。これが現実なのだろう。

これを受けたpeat氏の分析と提言が、ブログ「ごめんね日常」に書かれている。長文のコメントを含め、まだご覧になったことがない方は通読をオススメしたい。

機内モードで光や音が出るリスクがある以上、私は主催者側が機内モードを案内するのは疑問だ。もし「電源を切ってもらうのはハードルが高い、機内モードなら受け入れられるかも」と考えているのなら、開演前に電源を切らないことのリスクを丁寧に説明し、俳優からのお願いという形にしてもいいので、もっと観客に強く訴えるべきではないだろうか。自分のスマートフォンのせいで、観客全員の感動をぶち壊してしまうかも知れない恐怖を想像してほしいのだ。

上記「ごめんね日常」の長文コメントにもあるが、「開演前のアナウンスや諸注意」については、私はまだ改善の余地があると思う。定型の原稿を読んでいるだけで、「頼むから電源を切ってくれ」という思いが伝わる前説が少ない。ドラマ仕立てで電源オフをお願いするなど、これまでも演劇人は様々なアイデアで立ち向かってきたはずだ。ここで安易に機内モードを認めるのは、時期尚早すぎやしないか。

なお、この記事の執筆に際して検索したら、「エンタステージ」が「スマホの方は機内モードにしましょう」と書いているのを見つけた。観劇マナーの記事なら、スマートフォンでも電源を切ることを基本にしてほしい。