この記事は2009年11月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。
小劇場界に広がりを見せる「はじめて割」「おか割」
風琴工房(本拠地・東京都中野区)が2008年4月公演で実施した初見客割引やリピーター向けクーポン券が、小劇場界で広がりを見せている。
風琴工房が最初に仕掛けたのは、「『つたえて』プロジェクト」というキャンペーン(2008/5/8付本欄既報)。スズナリ2週間公演を利用し、「ファーストウィークエンドキャンペーン」という週末対象の初見客招待(観客が初見客を同伴した場合に1名招待)、リピーター観劇や友人知人への紹介に使える300円のクーポン券進呈を行なった。その後の公演でも「平日はじめて割」のネーミングで継続している。
こうしたサービスを08年12月公演から取り入れたのが、劇団桃唄309(本拠地・東京都杉並区)。劇団桃唄309では初見客無料を「はじめて割」、クーポン券を「おか割」とした。「おか割」というネーミングは外食業ではあるが、興行業では他に例がないようだ。
劇団桃唄309「はじめて割」は、観客が初見客を同伴した場合に1名無料にするほか、初見客同士で訪れた場合も1名無料にする。「おか割」は一度観劇した観客自身がもう一度観るか、他の人に観てもらいたいと思った場合に、500円キャッシュバックされるクーポンをプレゼントするもの。10月15日~25日にテアトルBONBON(東京・中野)で上演した本公演では、公演期間中にドラマリーディング・ワークショップも開催し、その発表会の観客にもクーポンがプレゼントされた。この発表会は入場料500円に設定されていたため、本公演を観れば発表会は無料ということになる。発表会の観客を本公演に誘導する巧みな戦略だ。
「はじめて割」は、ユニークポイント(本拠地・東京都板橋区)も09年8月公演で1,000円割引の形で全ステージに採用。ナマイキコゾウ(本拠地・東京都)も、次回公演(12/16~12/20、東京・テアトルBONBON)で前半の平日3ステージを700円割引にする。
公演前半の観客は〈クチコミの伝道師〉であり、観客の間口を広げたい小劇場界にとっては招待してでも観てもらいたい存在。観客の自己申告になるため、公平性担保のために予約確認など制作スタッフの負荷はかかるが、「はじめて割」はカンパニーとっても決して損ではないだろう。さらに広がりを見せることを期待する。
劇団桃唄309Web/2009年10月公演『死すべき母の石』
http://www.momouta.org/products/200910motherstone/
uniquepoint website『雨の一瞬前』再演ページ
http://www.uniquepoint.org/ame2009/
ナマイキコゾウ『革命の林檎』開演情報
http://namaikikozou.com/other/new_schedule.html