この記事は2010年4月に掲載されたものです。
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こまばアゴラ劇場「サミット」が2011年度リニューアル、地域カンパニーの紹介を明確にした年1回開催の新フェスティバルへ移行
こまばアゴラ劇場(東京・駒場)は、夏冬の年2回開催されている演劇フェスティバル「サミット」を、2011年度から新しいフェスティバルにすることを4月8日発表した。名称は一般公募する。
サミットは1988年~2000年に開催された「大世紀末演劇展」を引き継ぎ、01年8月にスタートした。フェスティバルディクターを中心とした選定を行ない、当初の会期は夏2か月半、冬2か月の計4か月半に及んだが、同劇場が03年度から貸館制度廃止に踏み切ったのに伴い(2002/12/19付本欄既報)、劇場主催・提携の春秋シーズン公演の比重が増し、現在は8月と2月に各1か月程度開催されるまで期間短縮されている。地域のカンパニーに対する上演機会提供が大世紀末演劇展以来のテーマだが、近年は短い会期と上演日程が折り合わず、平日のみの旅公演も目立っていた。
新フェスティバルは「地域のカンパニーの紹介」という理念をより明確にする。会期は8月~9月中旬までの年1回開催とし、1団体あたりの劇場使用期間は1週間程度として、週末公演の機会を保障する。助成金申請を考慮し、春秋シーズンのように劇場主催・提携も選べるようにする。サミットのような短期間の参加団体募集は廃止し、年間を通じて公演企画書を受け付け、実行委員会が実際に足を運んで観劇した上で、選定会議で決定していく。地域からの推薦、フェスティバルやコンテストの評価も参考にする。準備に充分な時間をかけ、内容の濃いフェスティバルにする方針だという。大世紀末演劇展の原点に立ち戻る改革であり、評価したい。
新フェスティバルではフェスティバルディレクター自身による10日間~2週間の作品上演を義務づけ、「フェスティバルの顔」とするほか、年ごとのテーマを決めてフェスティバル全体のパッケージング化を進める。選定会議でそのカンパニーを推薦した実行委員が制作サポートを担当し、制作支援もより密にする。さらに、新フェスティバルで上演された作品の巡演機会も探っていきたいとしている。
現在のフェスティバルディレクター・杉原邦生氏(KUNIO主宰、本拠地・京都市)の任期が10年9月30日で終了するのに伴い、同劇場では次期ディレクターを公募中。任期は10年6月1日~12年9月30日で、11年と12年開催の新フェスティバルを担当する。実務経験3年以上の演出家、振付家、プロデューサーなどで、年齢・国籍不問。報酬は月額5万円(税込・交通費別)で、カンパニー選定のための観劇費用(入場料、交通費、宿泊費など)は劇場側が負担する(上限あり)。ラインナップ選定会議への出席、サミット全公演の観劇・ポストパフォーマンストーク出演などが義務づけられる。
詳細はサミット公式サイト参照。