Pocket

This website is not about a fringe festival. It’s the knowledge management for Japanese theatre companies. All the contents are only in Japanese.

fringeは小劇場演劇の制作者を支援するサイトです。現場の制作者向けに特化した専門サイトとして2001年2月22日に開設し、制作者の視点を貫いて運営しています。

小劇場演劇(小劇場)は、小さな劇場を意味する言葉ではありません。俳優中心に結成された新劇に対し、演出家中心に組織された集団であること。団体客に依存する商業演劇や、演劇鑑賞団体と不可分の新劇と異なり、個人客をベースにした手打ち興行であること。つまり劇場の大小ではなく、カンパニーという小さな組織で、演劇を個人で楽しむライフスタイルを体現したものが小劇場だと私は考えています。小劇場という言葉は決してマイナーを意味するのではなく、夢の詰まった演劇本来の姿だと感じます。小劇場からスタートしたカンパニーは、大劇場で公演するようになっても小劇場演劇なのです。

fringeのミッションは、演劇制作のナレッジマネジメントと第一線の制作者に元気を与えることです。

小劇場は自由な反面、比較的容易に上演が出来てしまうことから、芸術面ばかりが重視され、興行面が疎かにされてきました。公演の企画制作ノウハウが属人的となり、小劇場界全体で体系立てて整備されることが少なく、サービス業としての基本さえ確立しないまま、身近な友人知人を相手にした上演が続いてきました。誰もが気軽に観劇を楽しめる社会にするため、fringeでは演劇制作に関するナレッジマネジメントを進め、若い制作者にノウハウを提供します。観客の存在を考えない「芝居」から社会に開かれた「公演」にするための方法を、Webを通じて全国へ広めます。若い制作者はfringeをマニュアル化するのではなく、それぞれの方法で咀嚼しながら成長してください。

制作者はスペシャリストの集団である演劇の世界において、唯一のゼネラリストです。そのため、有能で熱心な制作者ほど新しい作業を生み出してしまい、やればやるほどボロボロになって磨耗してしまう傾向にあります。私も過去に何人もの名物制作者が、周囲の理解を得られずに現場を離れる姿を見てきました。現場の第一線で活躍している制作者に対し、日々の悩みや課題を吸い上げ、貴重な人材を疲弊から救いたいと思います。fringeが孤立している全国の制作者の心の拠りどころ、駆け込み寺になりたいと思います。

制作者はカンパニー運営や新たな公演企画を発想するため、幅広い情報収集が必要です。創造環境を担う立場の人間として、場合によってはアーティスト以上に発言していくこともあるでしょう。そうした制作者のための情報提供と提言にも力を入れ、制作者として知っておくべき動向を網羅しています。東京に情報が偏りがちな状況を是正すべく、地域の制作者ほど積極的に情報提供していただきたいと思います。情報を得たいと思うなら、どうか自分から情報発信してください。情報は発信する人に集まるのです。

fringeは、私自身がカンパニー付き制作者だったときに欲しかったサイトです。「fringe.jp」というドメイン名にふさわしい存在であり続けるよう、制作者にとってなにが必要なのか、どんな刺激を受けるべきなのか、原点に立ち戻りながらコンテンツを充実させていきます。09年6月には大規模リニューアルを行ない、情報のさらなる整理と継続性の担保を目指したサイト構築を進めています。

今後ともご支援をお願いいたします。

2009月7月20日
fringeプロデューサー/荻野達也