スタジオジブリの月刊広報誌『熱風』2007年2月号~08年9月号に連載された、高萩宏氏(東京芸術劇場副館長)の「夢の遊眠社と僕と演劇プロデューサーの仕事」が単行本になる。『僕と演劇と夢の遊眠社』に改題されて、7月23日発売予定。
本気で観劇人口を増やしたいなら
観劇が困難な生活になり、現在の演劇状況について客観的に考える機会が増えた。改めて見つめ直すと、演劇界は新しい観客を獲得する努力を本当にしているのだろうかという疑問がわき上がってくる。
演劇界はまだ演劇を観る習慣がない人、劇場へ足を運ぶことが出来ない人に対し、いかに接するかに注力すべきだと思うが、それが目先の動員数(延べ動員数)を獲得することに向けられているのが現実だと思う。すでに演劇を観る習慣がある人をターゲットに、少ない観劇人口のパイを奪い合っているだけだ。あるいは公演期間中のリピーターを増やしているだけで、動員が2倍になったとしても、それは同じ観客が2回観ているわけで、観客の純増にはつながっていない。延べ動員数が増えれば収入にはなるが、それで本当に演劇界に未来はあるのだろうか。
「むりやり堺筋演劇祭」について
あらたな段階を迎えた「C.T.T.」(事務局会議)
6月18日から20日にかけて、広島に滞在し、
・C.T.T.ヴィジョンミーティング(事務局会議)
・演劇パネルディスカッション「地域にこだわって演劇をしよう」
・(試演会)C.T.T. Selection in Hiroshima vol.2
に参加あるいは観客としてみてきました。
C.T.T.とは「コンテンポラリー・シアター・トレーニング」の略で、3団体が30分の試演を対バン形式でおこなうというものです。C.T.T.事務局は、国内5地域に拡がり、国内の地域演劇シーンに少なからぬ存在感を示しているというべきでしょう。
小劇場系のルートと商業系のルート
すでに触れらていることではあると思いますが、地域に拠点をおく劇団が、首都圏での公演をする場合に小劇場系演劇のルートと商業演劇系のルートの二つのルートがあると言えそうです。
もちろん、この中間に位置するルートや、これに当てはまらないものもあるとおもいます。
春の別れ
この春に演劇界が失ったものは少なくない。
朝日舞台芸術賞は、賞の枠組みを変更した矢先だったので、まさかの休止だった。ダンス色を鮮明に打ち出していたので、関係者の衝撃も大きかったのではないかと思う。「百年に一度」と言われる経済危機を他人事と思っていた演劇人も多いようだが、経済は確実に芸術にも影を落とす。演劇の現場に関係なくても、観客は大いに関係がある。そういう当たり前の感覚を忘れてはならない。
リニューアルについて
リニューアルに伴い、カテゴリー名を改めることにする。文体も変えるが他意はない。「フリンジのリフジン」は、以前から「演劇制作SNS」内のコミュニティに使っている名前で、これ以上のネーミングはないと思うので表でも使うことにした。
まず、fringeの更新が3月上旬から滞ったことだが、これは個人的な事情が複数重なったためで、個人サイトである以上、そういう事態になればどうしようもない。fringeは個人サイトだと明記しているにもかかわらず、いまだに組織が運営しているかのように錯覚している読者がいるが、純然たる個人サイトで、一人の人間が手作業で更新している。ここ数か月、事情により食事や睡眠さえ満足に取れなかった状況なので、サイト更新が手付かずになるのはやむを得ない。「fringeは公共性がある」など、一部で高い評価をいただいたりもしたが、属人的なサイトはその人がいなくなれば終わりだ。そのサイトが本当に公共性があり、かけがえのない存在だと思うのなら、カネを集めて組織で回していくしかない。fringeも常に寄付は募集していたが、それに応えてくださったのは本当に少数だった。寄付が集まれば、ライターを募集して組織による運営も考えたのだが……。人間、「身銭を切れるかどうか」で最後は決まるんじゃないかと思う。これは真実で、プロデュースというものはそういうものだ。身銭を切る覚悟があるかどうかだ。
九州演劇人サミットinかごしま
6月7日に、九州演劇人サミットinかごしまがおこなわれ、無事終了しました。
今回の九州演劇人サミットは、九州7県(福岡・大分・佐賀・長崎・熊本・宮崎・鹿児島)の各地域で活動する、演劇人によるパネルトークに役者向けのワークショップを併設した企画です。
劇場のインフルエンザ対策
新型インフルエンザは季節性のインフルエンザとかわらないということで、昨今の報道は少々騒ぎすぎのような気がします。
しかし渦中にある場合は、劇場としてもなんらかの対応を明確にする必要があるでしょう。
小劇場の新型インフルエンザ対策としては、大阪のインディペンデントシアターが公式ブログで、対応方針を公開しています。
プロデューサーの苦悩
カラフル3の大橋プロデューサーが自身のブログ「マカロニノート」で、カラフル3運営の数日間についてふりかえっています。
これをみると、すべてがうまくいっているわけでもないし、苦しい状況の中でさまざまな取捨選択がおこなわれたことが見て取れます。
また精神的にも大きなストレスがあったようで、苦労が忍ばれます。
ここまでの大規模な企画で、赤裸々に運営の状況を公開することには、賛否があるかも知れません。
しかしながら、ここから得られるものはたいへん多く、国内各地域の制作者はぜひ一度ご覧いただきたいと思います。
