作成者別アーカイブ: 荻野達也

マームとジプシー『ハロースクール、バイバイ』は、記憶という行為そのものを舞台化した前例のない演出手法だ

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

マームとジプシー『ハロースクール、バイバイ』

終演後、いま観たばかりの作品を戯曲で確認したいと思うことが、私の場合は3年に一度くらいある。手元に残しておきたい珠玉の台詞、どうやって稽古したのかわからない絶妙な演出に出会ったときなど、その場で戯曲を確かめたくなる。フェスティバル/トーキョー10(F/T10)公募プログラムで11月24日に拝見したマームとジプシー『ハロースクール、バイバイ』は、まさにそんな作品だった(残念ながら物販はなかった)。

舞台は海が近い「かもめ中学校女子バレーボール部」。これまでの作品が14歳を描いていたように、ここでも14歳の中学2年生たちが描かれる。試合時間に見立てた90分の上演中に、転校生を中心とした部員たちの身近なエピソードや練習風景が、短いシーンのカットバックで綴られる。実際のバレーボールは使用せず、演技だけの「エアーバレーボール」で表現した。

続きを読む

岸田戯曲賞最終候補作品発表の越年

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

例年12月下旬の岸田國士戯曲賞最終候補作品発表が、今回は越年となった。「候補作が上演台本中心となったいま、白水社は岸田戯曲賞の推薦・選考時期をずらすべきではないか」という声が届いたのだとしたら、うれしい。

続きを読む

『ドラマトゥルク 舞台芸術を進化/深化させる者』

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

慶応義塾大学准教授でドラマトゥルクの平田栄一朗氏が、11月25日に『ドラマトゥルク 舞台芸術を進化/深化させる者』(三元社)を上梓した。長島確氏にドラマトゥルクと名乗ることを勧めた、あの平田氏である。

ドイツ演劇研究を専門とする平田氏が、長期取材を踏まえてドイツ演劇界におけるドラマトゥルクの全体像をまとめたもので、こうした体系的な書は日本初ではないかと思われる。制作分野と密接な関わりのあるドラマトゥルク(ドラマターグ)への知見を得るため、制作者もぜひ目を通しておきたい。

続きを読む

『「マエストロ、それは、ムリですよ…」~飯森範親と山形交響楽団の挑戦~』

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

「マエストロ、それは、ムリですよ・・・」 -飯森範親と山形交響楽団の挑戦-
ヤマハミュージックメディア
売り上げランキング: 165989

この本は売れているので、ご存知の方も多いだろう。社団法人日本オーケストラ連盟正会員の中で、本拠地の人口が最も少ない山形交響楽団(山響)の音楽監督、飯森範親氏の改革を描いたものだ。飯森氏は映画『おくりびと』出演や『のだめカンタービレ』指揮演技指導でも知られている。

音楽家と言えば、演劇人以上にアーティスト志向が強いイメージがあるが、飯森氏は「音楽家は、サービス業です」と公言し、「だって、どんなに完璧な演奏をしたって、ホールにお客さまがいなかったら意味ないでしょう?」と語る。こうしたポリシーを掲げる指揮者はほとんどいないようだ。そうした思いから生まれる付帯イベント、アウトリーチの数々は、もちろんそのまま演劇にも応用出来るだろう。

続きを読む

劇場法(仮称)を「公共ホール救済法」にしないためには、稽古場施設と民間劇場も対象にすべきである

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

劇場法(仮称)の議論について、前提条件の部分でなにか引っ掛かるものがあった。それを言語化すべく、「劇場法(仮称)が総論賛成各論反対になる理由――推進派はここをもっと説明すべき」を書いて以降、ずっと考え続けてきた。言葉が悪いが、やはり現在の議論では民間劇場はないがしろにされてしまうとの思いがあり、公共にしか出来ないことはなにかを突き詰めて考える作業をした。その答えがこの文章である。

続きを読む

コアなファンが全員観るのは当然、その上を目指さないと話にならない

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

『BRUTUS』12月1日号特集「映画監督論」の覆面座談会で、長年アート系映画を手掛けてきた配給会社代表の方が、こう語っている。

そもそも東京都内には、本当のコアな映画ファンは、1万人いるかいないかだといわれているんです。

これに対してコアな演劇ファンの数を考えたとき、こまばアゴラ劇場の支援会員数が一つの目安になると思う。平田オリザ氏は劇評サイト「ワンダーランド」が2009年に行なったインタビューで、支援会員制度に基づくコアな観客数を400人ぐらいだと答えている。アゴラ界隈で上演されるアーティスティックな作品に足を運ぶ観客数として、体感的にもそれぐらいではないかと思う。

続きを読む

「小劇場劇団の制作担当者検定」と「代表者検定」

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

「Yahoo!みんなの検定」に、「小劇場劇団の制作担当者検定」「小劇場劇団の代表者検定」があったのでやってみた。

検定というよりアンケートのような設問で、どれか一つが絶対正しいと言い切れないものもある。両方の検定にダブって出題されている設問もあった。

私の結果は次のとおり。

続きを読む

「トップレベルの舞台芸術創造事業」(仮称)で旅費・運搬費が対象外なら、「舞台芸術の魅力発見事業」を復活出来ないか

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

芸術文化振興基金・芸術創造活動特別推進事業の締切(11月19日消印有効)が迫り、制作者はいま申請書作成の佳境を迎えていると思う。

平成23年度芸術創造活動特別推進事業は、予算要求が通れば「トップレベルの舞台芸術創造事業」(仮称)への移行が予定されており、公演本番にかかる費目が支援対象外になる代わりに、公演以前の芸術創造活動は黒字であっても支援される予定だ。詳細が募集案内では不明瞭だが、11月1日に発行された日本演出者協会機関誌『ディー』5号のインタビューで平田オリザ氏はこう答えている。

続きを読む

候補作が上演台本中心となったいま、白水社は岸田戯曲賞の推薦・選考時期をずらすべきではないか

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

演劇関係者による岸田戯曲賞候補の推薦締切が今週だった。例年12月下旬に最終候補作が発表され、1月下旬~2月上旬に選考会が開かれて決定するスケジュールだが、そうなると11月下旬~12月に上演された作品はどうなるのだろうか。

白水社の公式サイトでは、「選考対象は、原則として1年間に雑誌発表または単行本にて活字化された作品とする。ただし、画期的な上演成果を示したものに限って、選考委員等の推薦を受ければ、生原稿・台本の形であっても、例外的に選考の対象とすることがある」とあるが、近年は小劇場系の上演台本が多数を占めており、そうなると11月下旬~12月に上演された作品の扱いが気になる。

続きを読む

劇場法(仮称)が総論賛成各論反対になる理由――推進派はここをもっと説明すべき

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:
Pocket

劇場法(仮称)に関する演劇界の議論は一巡し、総論賛成各論反対の印象が強い。各論の部分に様々な思いが交錯し、論点が見えにくくなっているように感じる。私個人は5月16日に「劇場法(仮称)に対する私の考え」を記し、劇場法(仮称)の提言自体には賛成を表明したが、合意形成にもっと時間をかけること、民間劇場に対する優遇措置を条件としてきた。この半年間の経緯を踏まえ、私なりに各論部分の問題点を解きほぐしていきたい。

続きを読む