toi『四色の色鉛筆があれば』を観ました。
「四色問題」に合わせて、短編4本のオムニバスで構成。前回観逃した話題作『あゆみ』もバージョンを変えて上演され、演出家のやりたいことや世界観がよく伝わる舞台だったと思います。「反復かつ連続」も長久手演劇王国「劇王IV」で優勝した作品で、時空のズレを楽しませてくれる作品でした。ただし、この発想は2002年のシベリア少女鉄道『耳をすませば』と同じじゃないかな。変わったことをやろうとする演出家は、シベ少が過去やってきたことに気をつけたほうがいいかも知れません。
初日は平日ながら立ち見が出る盛況で、toiを含めたシアタートラム「ネクスト・ジェネレーションvol.1」のセレクトの確かさを感じさせましたが、制作面でとても気になったのが、2日目千秋楽を平日なのに18:30開演にしたことです。つまり、平日2日間3ステージ中、普通の社会人が観劇出来るのは1ステージしかないという公演日程でした。バラシの問題もあるとは思いますが、千秋楽はせめて19:00開演に出来なかったのかと思います。
18:30開演と19:00開演は、時間的には30分しか違いませんが、観客の印象が大きく異なります。都心に務める社会人でも、18:30開演というのはタイムテーブルを見たとたん、行く気が失せるのではないでしょうか。定時17:30の勤務先だとして、定時ちょうどに仕事場を出られる人は少ないでしょう。残務を片付け、18:00ぐらいに退社出来るのがやっとだと思います。駅までの距離や乗換時間を考えると、都心でも18:30開演は厳しい。19:00開演ならまだ行こうかと思う。そうした一般の感覚を持ってもらいたいと思います。
開演時間の設定は、客層に対する想像力の問題です。18:30開演でよいと思うのは、自分たちの周囲にいる「18:30に来られる身内客」しか想像していないのではないでしょうか。公共ホールの自主企画で新しい観客に紹介するのなら、社会人が来ることの出来る開演時間に設定するというのは、大切なミッションだと思います。劇場・toi双方の意識が問われると思います。toiは前回の『あゆみ』でも平日マチネ終わりにしていて、追加公演でソワレを入れました。千秋楽に対する感覚が気になります。
演劇人というのは、毎朝ラッシュアワーに通勤するサラリーマンになるのが嫌で、この世界に飛び込んだところが多かれ少なかれあるはずです。けれど、客席で作品を観てくれるのは、そのサラリーマンの人々です。どうしたら劇場に足を運びやすいのか、どうしたら仕事帰りに劇場に立ち寄ってくれるのか。その想像力を絶対に失わないでほしいと思います。
□ fringe 2009年2月2日の記事「平日18:30開演はないだろう」という記事について
fringeは昔からよく拝読させていただき制作面での良き参考とさせてもらっていま
私のブログがTBしていないので、こちらもコメント欄に記入いたします。
開演時間について、ちょうど自分のブログのエントリーの途中でこちらの記事を拝見し、文中に少し引用させていただきましたので、ご連絡いたします。
「かのこの劇場メモ」かのこ@管理人
「あなたの一方的な物言いのほうが
ないだろう・・」
思うのですが・・。
ネクストジェネレーションと称しても、
平日しか二日間しか公演期間を
もらえなかったであろう若手の集団が
22時退館に間に合わせるために組む
正当な時間だと思いますが。
「変わったことをやろうとする演出家」
というくくりもとても偏見に満ちています。
何か他で気に入らなかったことを、
正当性があるように書いているのか
とすら邪推いたしました。
あなたの言い分は、正しいようで
明らかに失礼ですので、よくお考えの上、
ご意見をお書きください。
ちょっと読んでいて、ひどいなと思わざるを
得なかったので、初めての書き込みで不躾な事は
承知していますが、書かせていただきました。
私は昨年6月の『あゆみ』を観逃して大変悔しい思いをし、今回の公演を心待ちにしていた一人なので、この公演に立ち会えてよかったと考えています。ですから、他意があってこのようなことを書いているのではありません。純粋に開演時間に対する問題提起として書きました。
「変わったことをやろうとする演出家」は、この部分だけを取ればネガティブに感じられるかも知れませんが、前のセンテンスで「時空のズレを楽しませてくれる作品」と評価した上で、ユニークさを強調するために使ったつもりです。ただ、ここは開演時間の問題に触れる前段で端折って書いたきらいもありますので、私の真意については改めてエントリーでご説明したいと思います。
貴重なご意見をありがとうございました。