この記事は2008年8月に掲載されたものです。
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客層の質と量(1)

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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芸術文化環境の地域間格差について、今回は「観客層の質と量」ということで考えてみたいと思います。

首都圏と福岡圏で比較してみますと、これはとくに考察するまでもなく、質も量も圧倒的に首都圏が優れているということに反論はないでしょう。
これはなんといっても、まず第1に人口がものをいいます。

東京都 1268万人
東京大都市圏 3439万人
福岡圏 242万人

人口の次に大きな要素は、その地域の人々にどれだけ観劇という行動様式がなじんでいるか、ということです。
例えば年に1回以上観劇する割合が人口の1%であると5%であるのとでは、人口が同じでも観客層の量の厚さに5倍の差があります。

仮に首都圏と福岡県でこれが等しいとすれば人口の差がそのまま量の厚さの差になります。

正式な統計を知らないので、またも直感と想像で補いますが、首都圏の方が観劇という行動様式がなじんでいる印象があります。(これは小劇場系演劇と商業演劇のイメージを混同している可能性もあります。)

地域的に、東京は、若者層に演劇がなじんでいるという印象があります。
大学の演劇部数などでそれを感じます。
福岡でマンモス大学といわれる生徒数が10000人を超える大学でも演劇部が複数ある大学はありません。(例外として、近年、大学が合併したため演劇部が二つある大学があります。)
一方、東京では、一つの大学で複数の演劇部、演劇サークルを有する大学がある例をよく聞きます。(これは聞いたのが昔の話なので、現在は根拠にならないかも知れません)
大学の演劇部の多さは、伝統的な要素があると思いますが、これは、ひとつの自然発生的な「環境」に近いだろうと思います。

福岡から東京にいった若手の役者さんから「福岡よりも東京の方が手売りのチケットがチケットが売りやすい。」という話を聞いたことがあります。この方は、福岡でも東京でも飲食店でバイトしていたのですが、「演劇してるんだけど・・・」という話を切り出したときの、すんなり受け入れられ感や、実際にすんなりチケットを買ってくれる感で、福岡よりも東京の方がハードルが低いということを訴えていました。
(この方は福岡に6年位住んでいて、その後東京に行き、東京に行って2年後位にこの話を聞きました。)

こういったことから、観劇という行動様式がなじみ度でいっても、福岡よりも首都圏の方が良好な環境にあり、観客層の量という点で、人口比以上の差があることが伺えます。