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2005年01月21日

パラドックス定数のアナウンス

fringeのトピック以前 Posted by 荻野達也 このエントリーを含むはてなブックマーク twitterに投稿する

パラドックス定数『5seconds』が王子小劇場の2004年佐藤佐吉演劇賞で最優秀脚本賞、最優秀照明賞、優秀宣伝美術賞を受賞しました。作品自体への評価は私も同感ですが、当日運営、正確には開演前アナウンスで気になることがありましたので、ここに書いておくことにします。

私が拝見したのは11月15日ですが、前週のステージが満席でこの回に変更を余儀なくされた観客がいたらしく、アナウンスではその旨を詫び、変更した観客へ感謝の言葉を述べていました。言っている内容はわかりますが、果たして関係ない観客も多数含まれる開演前アナウンスで必要なことでしょうか。日時変更に応じた観客は個別に把握しているはずですから、受付でしかるべき挨拶をすれば済むことです。全員の前でアナウンスされると、お詫びの目的を超えて、自分たちの対応を誇示しているような印象さえ受けてしまいます。そこまでの思惑はないにしても、多数の観客に対するホスピタリティはどうあるべきか、次のステップとして考えてほしいと思います。もちろん、ベストは満席で観客を帰すような状況をつくらないこと。この点については「しのぶの演劇レビュー」が、「前売りチケットが『期間中有効』というのは早く辞めた方がいいですね」と指摘されています。

意識的に使っているのだと思いますが、アナウンスでは「感謝します」が多用されていました。それ以外はきちんと敬語でしゃべっているのに、「~いただき、感謝します」は非常に違和感があります。普通は「ありがとうございます」「御礼申し上げます」、百歩譲って「感謝いたします」でしょう。それとも、観客とは一線を画し、わざと距離を置きたいと考えているのでしょうか。作風的にはわからないでもないですが、制作者が考えるホスピタリティとはやはり違います。このようなアナウンスをされると、私は「(悪い意味で)主宰が公演全体を掌握しないと気が済まないのだろうか」という印象を持ってしまいます。開演前は先入観を持たずに作品世界に浸っていきたいのに、その邪魔になるのです。

劇場に足を踏み入れたときから作品世界が自己主張しているのは魅力的なことですが、そのバランスは難しいものです。演出家はどうしても作品世界の延長で接客面も考えがちですが、そこには制作者による別の視点が必要です。演出家がいつも正しいわけではありません。作品への評価と比例して、その部分も今後自覚していただきたいと思います。

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