この記事は2004年9月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。



京都ブライトンホテルのリレー音楽祭

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

Pocket

京都でホスピタリティあふれるホテルと言えば、真っ先に思い浮かぶのが京都ブライトンホテル。JTB「満足度90点以上の宿」では、調査開始以来6年連続でランクインしています。この調査、先日こんな自作自演もニュースになりましたが、ブライトンは本物だと思います。

このホテル、外観からは想像出来ない巨大なアトリウムを持っているのですが、そこで毎年7月に「リレー音楽祭」というイベントが繰り広げられます。31日間、毎日20時から30分程度、特設ステージを設けて無料コンサートを開くのです。BGMとして生演奏するのではなく、コンサートですからロビーなのに静寂が保たれます。駅で行なわれる「エキコン」と似ていますが、ホテルでこのような催しが続けられるのは例を見ないそうです。1996年からスタートし、今年で9年目。初年度は6月~7月の61日間連続でした。

普通のホテルでは、宿泊客以外の客室フロアへの立ち入りを嫌うものですが、この音楽祭では6階まで吹き抜けとなったアトリウムを囲む回廊での鑑賞も許されています。出演者は基本的にボランティアで、アマチュアだけでなく高名なミュージシャンもステージに立ちます。音楽だけでなく、金剛能楽堂がホテルに近いため能もあれば、今年は宝塚歌劇団が初出演しました(花組・絵莉千晶さん、悠真倫さん)。

私は7月8日の第376夜、金剛流の舞台を拝見しました。木曜日にもかかわらずアトリウムは人であふれ、宿泊客だけでなく近隣の住民も詰め掛け、ホテルのロビーとは思えない雰囲気の中、金剛永謹師『熊坂』が演じられました。たまたま泊まった日に能が観られるとは、なんと贅沢なことでしょう。

この音楽祭を企画し、現在も実行委員長を務める元京都市交響楽団音楽監督の井上道義氏は、音楽の裾野を広げるため、ウィーンのように毎夜、しかも気軽に楽しめる場を提供することを目指したそうです。生演奏の魅力が、全国のホテル、世界のリゾート施設に広がることを願っているそうです。「リレー音楽祭」という名前は、音楽が録音ではなくナマで手渡されるべきという意味が込められているのです。


京都ブライトンホテルのリレー音楽祭」への1件のフィードバック

  1. tokunaga

    以前知り合いが出演したので東京から聴きに行ったことがあります。毎年これだけの規模でやってるのはすごいですね。

コメントは停止中です。