この記事は2008年8月に掲載されたものです。
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客層の質と量(2)

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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客層の質、という点で考えてみたいと思います。
なにをもって良質の客層とするのかという問題がありますが、ここでは観劇に強い関心を持ち、数多くの観劇をして、表現者のモチベーションを高めるようなアンケートを書かれると仮に定義しておきます。
私は、この問題について量が質を決定すると考えている部分があり、この考えでいくと、優れた客層も劣悪な客層も、東京に多いということになります。と同時に平均値もかわらないということになります。
この点でいうと、地域による差はないということになります。

一方、考慮したい点が、人口が多いことが専門化や分業化を促進し、一定の閾値を超えると専門職ができたり、商業的に成立するようになるということです。
この点で、量の多さで他の地域にはない閾値を超えたものが東京にはあるだろうと考えています。たとえば、一定数以上の良質の客層があることで、有料の演劇専門雑誌が成立するでしょう。有料の演劇専門雑誌が成立している地域はやはり限られています(福岡にはありません)。
そしてこのような雑誌の存在は、正弦分布を少し右にずらす効果があるかも知れません。

また福岡で年間100本の公演を見ている人は10指にとどかないでしょう。年間200本以上見ている人は一人いるかいないかくらいだとおもいます。一方、東京では100本観劇クラスは10人という人数をはるかに超えるでしょうし、年間200本以上観劇されている方の存在も聞きます。

これは量にもつながりますが、先端的な表現で観るお客さんを選ぶような芝居の場合、地域では公演が成立するために最低限必要な動員数を確保にしにくい。ということがあります。このため芸術性の高い芝居は、地域では成立しにくいという状況があるといえるでしょう。

それとは逆に、極めて悪質な観客と呼べるような方、これは福岡では聞いたことがありませんが、東京にはいるのかも知れません。


客層の質と量(2)」への3件のフィードバック

  1. ユヤマモノミ

    質と量の関係に関心があり、拝読しました。
    良質の客層については、モチベーションを高めるアンケートを書くetc.という(仮)定義ということですが、
    極めて悪質な観客とされるような方については、ここではどのような(仮)定義を想定されていたのか
    だいたいでも良いので考える上でのヒントとしてお聞かせ願えれば幸いです。

  2. 高崎大志

    コメントありがとうございます。

    「極めて悪質な観客」についてですが、具体的には、不正な方法で入場しようとする人や、公演関係者にストーカー的な迷惑行為をするような方を想定しています。

    公演の進行を妨げずに観劇され、アンケートに罵詈雑言をかかれるレベルの方は、含まれません。

  3. ユヤマモノミ

    確かに、ごく僅かな確立で遭遇しますが
    上記の観客例は東京にはおりますね。。。

    遅くなりましたが
    ご返答下さり、ありがとうございました。

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