京都で活動するフリーの俳優・石本径代氏の「京都演劇界の現状とその展望」を拝読しました。京都の観客の方による「ぼんの備忘録」は、「ショックと言うか寂しい思いに」と感想を書かれています。
フリーの方の率直な気持ちとしてはわかりますが、「ぼんの備忘録」も指摘されているとおり、これはカンパニーに属しているかどうかでも変わるでしょう。オファーを待つフリーの立場だと、マスコミや公演自体の少なさが直接響きます。けれど、だからといって東京が絶対有利かと言えば、東京には関西の何十倍もの俳優志望者がいます。競争率で考えると、個性あるカンパニーに所属して存在感を示すことが出来れば、京都でもまだまだ道があると思います。
劇団衛星、MONO、ヨーロッパ企画のような例もあれば、地点のようにわざわざ東京から拠点を移すところもあります。京都のポテンシャルを考えると、戦略があれば可能性はあるのではないでしょうか。他都市で年長の俳優の方がいるのは、カンパニーに属しているか、もしくはカンパニーで知名度を上げた上でフリーになっているからではないでしょうか。
俳優の方がプライドを持って俳優以外のことはしたくないと宣言されるのは、一つの見識だと思います。俳優の活躍の場をつくることは、そういう才能がある人がやればいい。京都(及び関西全体)の課題はその分野の人材が少ないことで、石本氏も「自分で仕事を作ること」はしなくていいから、周囲をけしかけ、プロデューサー志望者を増やしてほしいと思います。「専業役者を目指したら、京都からオイダサレル」と考えず、反対に「専業役者の一人や二人養えない街はダメ」と啖呵を切っていただきたいです。
ちなみに、京都小劇場界の年長者として二口大学氏(1968年生まれ)を挙げられていますが、羊団トリオの水沼健氏、内田淳子氏、金替康博氏は1967年、“NEXT”の都木淳平氏、上田友子氏も同世代。パノラマ☆アワーの千種みねこ氏、飛鳥井かゞり氏も思い浮かびます。本体が京都を離れても、京都に根付いた活動をしている林英世氏のような生き方もあると思います。