一つの物語を登場人物それぞれの視線で繰り返し描く手法があります。ポリフォニーという言い方もあるようですが、私がこの手法で描かれた作品に初めて出会ったのが、1981年にNHK「ドラマ人間模様」で4回放送された「万葉の娘たち」でした。
市川森一氏の脚本で、奈良の女子大生4人を伊藤蘭、森下愛子、田中裕子、名取裕子の各氏が演じ、講師の自殺にまつわるそれぞれの軌跡を1人1本の視点で描いたものでした。当時、私は大学受験の真っ最中でしたが、前週にあった共通一次試験の自己採点が散々で、早くも浪人を決め込んで全話見ました。世の中にこういう手があったのかと思い、衝撃を受けたのを覚えています。
先週は浅草・花やしきでのKAKUTA『ムーンライトコースター』が好評でしたが、ウェブログではエピソードの関連性や観劇ゾーンごとの差別化を希望する声もありました。6本の短編を順番に4か所で上演し、オープニングとエンディングはそのときの短編に引っ張られるオムニバスだったようですが、チラシや特設サイトを見ても、6本の内容が同じなのかゾーンによって変化するのかが不明でした。私はポリフォニーなのかも、と期待したのですが……。
観客は一度着席したらゾーンを変えられないわけですから、その辺の情報提供が欲しかったと思います。もし、ゾーンによって物語そのものが変化する趣向なら、それが本当の「参加型演劇」ですから、それを強く宣伝することで4日間通し券のリピーターが激増したでしょう。
優れた企画だと思いますし、運営も無難にこなされたようですから、もう少し欲を出してほしかったと思います。KAKUTAの場合、昨秋のプラチナぺーバーズとの『青春ポーズ』『あおはるぽぉず’72』合同公演チラシでも、堤泰之氏に遠慮してか、2本とも観てねというメッセージ性が弱かったと感じます。自分たちが本当に魅力的なことをやっていると思ったら、堂々とそれを煽ってほしいと思います。動員を現在の倍にするくらい、簡単なことです。
先にも書きましたが、「万葉の娘たち」は受験中に見ていた私のほうがバカモノだったらしく、同世代と話しても全く通じません(笑)。覚えている方がいたら、コメントしてくださるとうれしいです。
はじめまして。
わたしは高校生のときに「万葉の娘たち」を見て、
4人の女子大生の生き方?がとても印象的で、
その当時、このドラマの描き方の大ファンになりました。手法や技法など詳しく解りませんが、
私は、是非もう一度みたいので、
NHKにリクエストしているのですが、
いち視聴者の意見なぞ聞いてくれるはずもなく・・・(^_^;)
でももう一度、本当に見たいと思えるドラマです。
同世代で「万葉の娘たち」をご存知の方がいて、うれしく思います。
「NHKアーカイブス」でやってくれないかなあ……。