谷瀬さんが書かれていた北九州芸術劇場のチラシ一覧が興味深かったので、東京の現状をご紹介したいと思います。
1月18日に観た青年団リンク・地点「ノルウェー現代戯曲ヨン・フォッセ上演シリーズ」(1/16~1/18、こまばアゴラ劇場)でもらったチラシ束を例に挙げます。赤字は本拠地が首都圏以外のところです。(仮チラ)は仮チラではないかと思われるものに付けましたが、最近は五反田団のような例もあるので油断出来ません。
合計89枚で、東京でも相当多い部類になります。本当はシベリア少女鉄道(1/7~1/12、駅前劇場)のチラシ束をご紹介しようと思って準備していたのですが、枚数が70枚だったのと、手折り込み(挟み込み)や束同士のドッキングで原型がわかりにくくなっていたので、地点のほうにしました。東京は手折り込みの場所がなかなか取れないため、人気カンパニーだからといって枚数が最多とは限りません。アゴラのように内部チラシが多く、手折り込みしやすいところが結果的に多くなります。
東京のチラシ束を語る場合、この束同士のドッキングが欠かせない要素です。Next(ネビュラエクストラサポート)が納品する束に、劇場での手折り込みが加わるのは昔からですが、最近はNext束とアゴラ束の相互交流や、制作ユニット「TWIN-BEAT」のミニ束もあります。
束はばらけないよう、二つ折りにした紙のあいだに挟むのが一般的ですが、この紙を東京では「親」(親紙)と呼びます。関西では聞いたことがなかったので、最初は戸惑いました。関西はご承知のとおり輪になって行なう関西方式で、出来た束を当日パンフかフリーペーパーで挟むのが普通でしたから、「親」という概念そのものがなかったのです。
なにもない場合、「親」はチラシを二つ折りにするのですが、現在はNextが広告スペース入りの専用親紙、TWIN-BEATはフリーペーパーを用意しています。アゴラ束はサミット全体リーフレットに挟まれています。手折り込みが途中に加わって、原型が崩れている部分もあると思いますが、この例は比較的きれいなほうだと思います。
関西ではチラシの順番は非常に重要で、あとから折り込むチラシは束の最後尾と決められ、それを破ると二度と折り込めないほど厳しかったのですが、東京方式ではその辺が甘くなりますし、束のドッキングで順番も狂いがちです。関西の制作者には信じられない光景かも知れません。
美しいチラシ束を組むのなら、関西方式のほうが優れています。ダラダラしゃべりながら折り込む困った人々に悩まされることもありません。私が初めて東京で関西方式をやったときは、異星人を見るような目で見られましたが、そろそろ関西方式の利点も冷静に取り入れていいのではないでしょうか。東京の優れたサービスである外部束と、関西方式で組まれた手折り込み束をドッキングすれば、理想的なチラシ束が出来ると思うのですが……。
もちろん東京で配られているチラシは、この89枚だけではありません。シベリア少女鉄道が70枚だったと書きましたが、両方で重複していたのは19枚だけでした。これ以外に、私が最近手にしたチラシが70枚ほどあります。同時期の都内の複数公演で折り込まれていたものです。すべて合計すると210枚になりますが、私が足を運んでいない劇場で配られているものもあるでしょうから、いまの季節、東京の小劇場系・コンテンポラリーダンス系では300枚ぐらいのチラシが流通していて、公演によってそのうちの10枚~100枚が折り込まれるというのが実態ではないかと思います。
余談ですが、らくだ工務店が日程の近接した2公演の本チラシを、精力的に折り込んでいるのが印象に残りました。どの劇場にも、らくだ工務店は入っていましたよ。
凄いです。
自分の送ったチラシが「どういう中に」入っているのかも判ってありがたかったです。
私の制作する公演で「2月に青山円形」というのがあるのですが、
これの折り込みでは「西日本方式」(関西方式と同じです。九州もだいたいコレなので、あえて「西日本」と称しました。)を敢行します。
現在、お問い合わせにはそうアナウンスしています。
劇場のロビーが広くないと出来ませんが、今回は広さより「テーブルが足りるか」が懸案でして・・・。
思った以上に折り込み予約が入るので、数を締め切らないとまずいことになると感じ始めました。
でも断るのも心苦しいし、今は「パネルでテーブル作ったる!」と計画してます。
チラシのベースですが、東京では「帯」(おび)と呼ぶところが割と多いとの情報をいただきました。私は耳にしたことがないのですが、そうなんでしょうか?