この記事は2011年12月に掲載されたものです。
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「CoRich舞台芸術!」のクチコミはレビュアーごとの加重平均にすべき

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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飲食店を探すとき、掲載店とクチコミの多さで「食べログ」を使うことが多い。そこで感じるのが評価の厳しさだ。5点満点だが、過去に利用して「これは4点台だろう」と思った店が3点台前半ということがよくある。それどころか、4点台はめったにお目にかからない。それもそのはずで、「点数について」を見ると4.0以上の店は全体の0.5%未満なのだ。3.0が「一般的な満足度のお店」、3.5になると「満足度の高いお店」「ほとんど失敗はしないでしょう」 になる。「食べログ」がこれだけ言い切れる背景には、意図的な点数操作を徹底的に排除したレビュアーごとの加重平均ロジックがある。

ロジックの詳細は公表されていないが、前述の「点数について」や『DIME』12月20日号「食べログの正しい歩き方」によると、よく食べ歩いて信頼を得ている人ほど点数に影響を与える仕組みとなっており、一定件数以上の投稿をしないうちは、投稿しても点数がグレーになって反映されない。これによって意図的操作を防いでいる。一度表示した評価も、経過日数や時期によって毎週再計算している。例えば、信頼出来るレビュアーが高い点数をつけたとしても、再訪がなく夏場の評価だったりすると、2年後の冬にはウエイトが下がるのではないかと想像する。

これに対し、「CoRich舞台芸術!」のクチコミ「観たい!」「観てきた!」は単純平均だ。各種ランキングも、ページ閲覧数やクチコミ数を単純に集計しただけのものだ。これまでも多くの指摘があるように、やろうと思えば評価やランキングを組織票で操作出来てしまう。さらに根本的な問題として、観劇初心者の「いまなにを観たらいいのか」という切実な思いへの答えになっていないと感じる。皆さんも率直に考えてほしい。全く予備知識のない初心者が現在の「CoRich舞台芸術!」を見て、なにを観たらいいか判断出来ると思われるだろうか。

2006年11月の「CoRich舞台芸術!」オープン前の7月に私が書いたのが、「私ならレビューサイトをこうする」全5回である。私はこの1回目で「他者へのオススメとはなにかを考えたとき、それは『初めて演劇を観る人に薦められるか』という言葉に置き換えられるのではないか」と書き、3回目では「この提言は投資をして複雑なデータベースを新規開発させるのが目的ではなく」と書いた。だからこそ、逆にデータベースを構築した「CoRich舞台芸術!」には提言を具体化してほしいと思っていたが、実装された機能はごく一部だった。

「CoRich舞台芸術!」で大幅な改造なしに加重平均を採用するにはどうしたらいいか、具体的に考えてみよう。まず「観たい!」だが、その団体を一度も観たことがない人は、比較する基準がなにもないはずだ(観たことがある俳優が出演しているなどの要素はあるだろうが、団体としては未知のはず)。このため、「観たい!」は過去にその団体を観たことがある人、そして最近の作風を知っている人ほどウエイトを高くすべきだ。その人が注目メンバーなら、さらにウエイトは高くなる。観劇経験の浅い人や身内客の評価は反映させないようにする。旗揚げ公演の「観たい!」は当然0点になるが、それはそれで仕方ないだろう。

「観たい!」の考え方

  • その団体を観たことがない人は、評価をグレー表示にして反映させない。
  • その団体を観たことがあっても、鑑賞ポイントが一定件数に達していないと、評価をグレー表示にして反映させない。
  • 鑑賞ポイントが一定件数に達していても、その団体だけに偏っている人は、評価をグレー表示にして反映させない。
  • 過去にその団体を観たことがあり、その団体だけに偏らず、鑑賞ポイントが一定件数に達している人は、評価を下記ロジックで加重平均する。
    • 最近の公演を観ているほどウエイトをかける。
    • 注目メンバー(鑑賞ポイントと魅力ポイント)に応じてウエイトかける。

「観てきた!」も同様に、その団体しか観ていない人、観劇に偏りがある人のウエイトは低くすべきだろう。「CoRich舞台芸術!」は全体的に評価が高すぎると思うので、3点を平均として、よほどのことがない限り4点台が出ないようにすべきではないか。5点満点で4点台が多数並んでいると、本数を観劇出来る人はいいが、月に1本しか観劇出来ない人にとっては選びようがない。「食べログ」のように、4.0以上が全体の0.5%未満にならないと、観劇初心者が今月観る1本を決めるサイトにはならないのではないか。

「観てきた!」の考え方

  • 鑑賞ポイントが一定件数に達していないと、評価をグレー表示にして反映させない。
  • 鑑賞ポイントが一定件数に達していても、その団体だけに偏っている人は、評価をグレー表示にして反映させない。
  • その団体だけに偏らず、鑑賞ポイントが一定件数に達している人は、評価を下記ロジックで加重平均する。
    • 注目メンバー(鑑賞ポイントと魅力ポイント)に応じてウエイトかける。
    • 幅広い観劇をしている人ほどウエイトをかける。

最後の「幅広い観劇」だが、これは「CoRich舞台芸術!」に登録されている演劇以外のカテゴリー(舞踊・バレエ、歌舞伎・伝統芸能、ミュージカル、オペラ)を観劇している人を意味する。小劇場フリークの絶賛する公演が、必ずしも演劇初心者向きとは限らない。小劇場中心に観ている注目メンバーだけでなく、観劇本数は少なめでも、様々なジャンルの公演を幅広く観ている人の評価を重視したい。

「CoRich舞台芸術!」は多くの方が協力していると思うが、別に小劇場フリークのデータベースをつくることが目的ではなく、これから演劇を観始めようという人の道案内になることが初心だったはずである。そのために必要なシステム改善はすべきで、それに費用が必要なら、「CoRich舞台芸術まつり!」を中止したり、「CoRichチケット!」を有償化したらいいと思う。いま「CoRich舞台芸術!」に必要なのは、「観劇初心者が今月観る1本を決めるサイト」になることである。サイトのミッションを見誤らないでいただきたい。それが観劇人口の増加につながるなら、「CoRich舞台芸術まつり!」を中止して怒る演劇人はいないはずだ。