いま東京で配られているチラシ束の中で、私がいちばん惹かれるのは風琴工房『機械と音楽』(3/9~3/16、ザ・スズナリ)です。掲載されている地図がおかしいなど、指摘すべき点はいくつかありますが、作品の世界観が全体から醸し出され、上演への思いが非常に伝わってきます。マイナス面を差し引いても、トータルな評価で「ぜひ観たい」と思わせる仕上がりだと感じます。
革命的芸術運動「ロシア・アヴァンギャルド」の建築家たちを描いた作品とあって、重厚で暗いチラシは単体では地味に思えますが、色が主張しすぎのチラシ束の中では逆に異彩を放って目立ちます。最小限の文字に抑えた表面は思わず裏返したくなる効果があり、公演期間と劇場名が真っ先に飛び込む裏面レイアウトもよく計算されていると思います。
裏面下半分はキャストのイメージ写真と作者の言葉。この作品をなぜ書きたかったのか、その思いが実直に吐露された文章は、締めも見事。「LIVESTOCK DAYS」によると、チラシ裏にキャスト写真を入れたのは風琴工房単独公演では初めてだそうで、それだけ自信のあるビジュアルなのでしょう。昨年の自信作の劇評も採録し、前売開始日(1/29)も印刷した上で折り込んでいるのは好感が持てます。風琴工房はfringeにも協力いただいているカンパニーですが、これが全く未知の集団でも、このチラシなら私は行くと思います。
誉めすぎるのもどうかと思うので、気になる点も書いておきます。Pコードがないこと、「ロシア」「ロシアン」の表記の乱れ、携帯サイト未公開、そして地図の不出来です。この地図はどうしたんでしょう、質の高い職人仕事の中で、そこだけ弟子にやらせたような印象です。下北沢駅の形がまず違うし、南口はこの位置ではありません。茶沢通りは太くして東京三菱銀行くらい入れないと、下北沢を知らない人は迷うと思います。地図はその場所を知らない人のために入れるわけで、どうか初心を忘れないでください。
チラシだけで行きたいと思うチラシは、なかなかありません。Web上に現物があると見ていただけるのですが、まだないようですね。
トラックバックの通知を見てビックリして
飛んできました。
fringeやネットワークユニットDuoのコラムを
参考にして一生懸命考えて作ったチラシですので
取り上げていただいたコト、宣伝効果というばかり
でなく、嬉しく思っています。
地図の件などまた次回の課題として考えていきます。
せっかく取り上げていただいたので特設ページで
チラシ画像を見られるようにいたしました。
http://www.windyharp.org/machine/
こちらの特集ページでチラシ画像が裏・表とも
見ることができます。
興味のある方ぜひお訪ねください。
作品作りもヒートアップしています。
チラシに負けないものにしなくては。
ではほんとうにありがとうございました。