観劇が困難な生活になり、現在の演劇状況について客観的に考える機会が増えた。改めて見つめ直すと、演劇界は新しい観客を獲得する努力を本当にしているのだろうかという疑問がわき上がってくる。
演劇界はまだ演劇を観る習慣がない人、劇場へ足を運ぶことが出来ない人に対し、いかに接するかに注力すべきだと思うが、それが目先の動員数(延べ動員数)を獲得することに向けられているのが現実だと思う。すでに演劇を観る習慣がある人をターゲットに、少ない観劇人口のパイを奪い合っているだけだ。あるいは公演期間中のリピーターを増やしているだけで、動員が2倍になったとしても、それは同じ観客が2回観ているわけで、観客の純増にはつながっていない。延べ動員数が増えれば収入にはなるが、それで本当に演劇界に未来はあるのだろうか。