作成者別アーカイブ: 荻野達也

本気で観劇人口を増やしたいなら

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観劇が困難な生活になり、現在の演劇状況について客観的に考える機会が増えた。改めて見つめ直すと、演劇界は新しい観客を獲得する努力を本当にしているのだろうかという疑問がわき上がってくる。

演劇界はまだ演劇を観る習慣がない人、劇場へ足を運ぶことが出来ない人に対し、いかに接するかに注力すべきだと思うが、それが目先の動員数(延べ動員数)を獲得することに向けられているのが現実だと思う。すでに演劇を観る習慣がある人をターゲットに、少ない観劇人口のパイを奪い合っているだけだ。あるいは公演期間中のリピーターを増やしているだけで、動員が2倍になったとしても、それは同じ観客が2回観ているわけで、観客の純増にはつながっていない。延べ動員数が増えれば収入にはなるが、それで本当に演劇界に未来はあるのだろうか。

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春の別れ

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この春に演劇界が失ったものは少なくない。

朝日舞台芸術賞は、賞の枠組みを変更した矢先だったので、まさかの休止だった。ダンス色を鮮明に打ち出していたので、関係者の衝撃も大きかったのではないかと思う。「百年に一度」と言われる経済危機を他人事と思っていた演劇人も多いようだが、経済は確実に芸術にも影を落とす。演劇の現場に関係なくても、観客は大いに関係がある。そういう当たり前の感覚を忘れてはならない。

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リニューアルについて

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リニューアルに伴い、カテゴリー名を改めることにする。文体も変えるが他意はない。「フリンジのリフジン」は、以前から「演劇制作SNS」内のコミュニティに使っている名前で、これ以上のネーミングはないと思うので表でも使うことにした。

まず、fringeの更新が3月上旬から滞ったことだが、これは個人的な事情が複数重なったためで、個人サイトである以上、そういう事態になればどうしようもない。fringeは個人サイトだと明記しているにもかかわらず、いまだに組織が運営しているかのように錯覚している読者がいるが、純然たる個人サイトで、一人の人間が手作業で更新している。ここ数か月、事情により食事や睡眠さえ満足に取れなかった状況なので、サイト更新が手付かずになるのはやむを得ない。「fringeは公共性がある」など、一部で高い評価をいただいたりもしたが、属人的なサイトはその人がいなくなれば終わりだ。そのサイトが本当に公共性があり、かけがえのない存在だと思うのなら、カネを集めて組織で回していくしかない。fringeも常に寄付は募集していたが、それに応えてくださったのは本当に少数だった。寄付が集まれば、ライターを募集して組織による運営も考えたのだが……。人間、「身銭を切れるかどうか」で最後は決まるんじゃないかと思う。これは真実で、プロデュースというものはそういうものだ。身銭を切る覚悟があるかどうかだ。

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制作者にも薦めたいキュレーター入門書

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演劇制作者は、美術の世界に例えるとキュレーターに相当すると思います。そのキュレーターの役割と考え方をわかりやすくまとめた入門書が2月に出ました。

1960年代以降に生まれた若手キュレーター中心に、具体的な事例とアートの境界が揺らいでいる現代での課題についてまとめています。「どこまでがアートなんですか?」「エンターテインメントをアートとして展示するのは?」などといった率直な疑問も、Q&A形式でキュレーターたちが自らの経験を踏まえて回答しています。

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京都市青少年活動センターの上げ幅に驚く

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京都市青少年活動センターがこれまで無料だった23歳~30歳を有料化する条例改正案ですが、この問題を考えるとき必要な視点は「京都市のポリシー変更」「金額の妥当性」の2点ではないかと思います。

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今井浩一さんの転進

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東京の演劇界では、『シアターガイド』からまつもと市民芸術館に転職される今井浩一さんの送別会が目白押しでしたが、中でも規模の大きかった2月21日の「今日だけ主役、今井浩一」の模様を、様々な演劇関係者がブログで紹介しています。実行委員会メンバーの産経新聞・田窪桜子記者のブログ「Nuts about Theater」からリンクをたどるとよいと思います。会場風景はONEOR8・伊藤俊輔氏の「芝居のコトトカ」で。

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新歌舞伎座工事現場に舞台用語

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大阪・上本町の近鉄劇場跡地に建設中の新歌舞伎座(2010年夏オープン)工事現場仮囲い(北面とゲート)が、2月13日から定式幕の3色(黒・柿色・萌葱色)に舞台用語を散りばめたものになったそうです。

こちらがニュースリリースで、北面の画像は「近畿日本鉄道博物館」、西面ゲートの画像はブログ「きました通信」が紹介しています。

続・平日18:30開演はないだろう

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前回私が書いた「平日18:30開演はないだろう」に対して、toiの作・演出をされている柴幸男氏からトラックバックをいただきました。現場の実情と共に、たいへんわかりやすく上演団体側のご意見をお聞かせいただいたものと思い、感謝いたします。

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読売演劇大賞への疑問

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最初に断わっておきますが、私は維新派のファンではありません。維新派は劇団日本維新派時代から観ていますが、「ヂャンヂャン☆オペラ」への路線変更が〈計算づく〉に感じられて、どうも感情移入出来ないのです。最近の維新派しか知らない観客を、タイムマシンで劇団日本維新派の客席へ送ってやりたいと思うほどです。若手カンパニーでも、戦略が露骨すぎて表現が〈計算づく〉に見えると、私はダメなんだな。最初は好きだったのに、回を重ねるごとに興味が薄れたところがいくつかあります。これはもう私の性格なのでどうしようもありません。たまたま私がそうだというだけです。

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