この記事は2009年3月に掲載されたものです。
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今井浩一さんの転進

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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東京の演劇界では、『シアターガイド』からまつもと市民芸術館に転職される今井浩一さんの送別会が目白押しでしたが、中でも規模の大きかった2月21日の「今日だけ主役、今井浩一」の模様を、様々な演劇関係者がブログで紹介しています。実行委員会メンバーの産経新聞・田窪桜子記者のブログ「Nuts about Theater」からリンクをたどるとよいと思います。会場風景はONEOR8・伊藤俊輔氏の「芝居のコトトカ」で。

『シアターガイド』は私が関わっていた『じゃむち』と同じ1992年に創刊したので、当時大阪在住でしたが創刊号から意識していました。『演劇ぶっく』のようなグラフ誌ではなく、成立するかどうかもわからない演劇情報誌というニッチな市場に挑戦したのも、両誌が印刷会社を母体にして製作費を抑えられたからだと聞いています。『じゃむち』編集部に行くと当時はまだ写植機があり、『シアターガイド』は少し進んで編集部員全員がDTPオペレーターを兼ねている雰囲気でした。『じゃむち』は98年に休刊しましたが、『シアターガイド』が今日まで続いているのも、首都圏の公演数と観劇人口に支えられた結果だと思います。『ぴあ』が網羅型編集を捨てた現在、こうした分野ごとの専門情報誌が存在感を示す結果になっているのでしょう。

今井さんが『シアターガイド』に転職直後の93年夏、遊気舎のプロモーションで初めて編集部を訪ねたときのことをよく覚えています。当時、神宮前のマンションにあった編集部で、今井さんはウォーターサーバからミネラルウォーターを入れて出してくれました。いまではオフィスや病院で普通に見かけるものですが、ミネラルウォーターを飲む習慣さえない93年ですから、私はここで初めてウォーターサーバというものを知りました。神宮前にオフィスがあるという時点でビビりましたが、さすが東京の編集部は違うと感心したものでした。それ以来、ウォーターサーバを見るとシアターガイドで水を注いでくれた今井さんを思い出します。

それにしても、演劇人の今井さんに寄せる思いを読んでいると、これから東京のカンパニーの松本公演が本当に増えるのではないかと思えるほどです。松本現代演劇フェスティバルの再来になるかも知れません。今井さんの今後に期待しています。