この記事は2011年5月に掲載されたものです。
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「野球をやっている場合じゃないなんてことが、ありえるのか」

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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『週刊現代』5月28日号のグラビア特集「The Target」に登場した爆笑問題の太田光氏が、プロ野球の開幕延期についてこう語っている。

「今回ばかりはナベツネ(渡邉恒雄)にちょっと同情しました。あの人は野球人ではないけれど、野球の持ってる力を信じてきた人なんだと思うんです。ところが、野球をやる当の選手たちが、野球をやってる場合じゃないと言い出した。これは、お笑い芸人が、お笑いをやってる場合じゃないと言っているのと同じですよ。野球選手は野球に命をかけているわけでしょう。不謹慎だろうがなんだろうが、野球をやっている場合じゃないなんてことが、ありえるのか」
 何がよくて何がいけないのか、よくわからないままに周囲の雰囲気に流され、自分が本当にできることを見失ってしまったのではないか、と太田は言う。
「自分たちは野球しかない、野球をやるんだ、となるべきだったはずなんです。僕自身、大事にしてきたことが否定されてしまったようで、すごく悲しかった」

演劇の自粛にも通じる内容だと思う。それを業とする人が、自分たちから自粛を求めるのは、私も違和感があった。世論が延期ムード一色になり、巨人フロントを目の敵にしている風潮も疑問だった。巨人と東京ドームは3月19日の時点で、消費電力を約40%減らす案をまとめていた。演劇も同じだが、消費電力の科学的検証をせずに、イメージだけで批判する人が多すぎるのではないか。私は巨人ファンではないが、今回は巨人フロントが早期開幕にこだわった気持ちもわかる気がする。

誰もが右へならえをする必要はない。全員が同じ方向を向いてしまうのは、むしろそのほうが怖い。こういうときだからこそ、自分がそれまでやってきたことを粛々と続けていくべきだと思う。

(参考)
自分に出来ることを粛々とやればいい
払い戻しではなく次回公演への振り替えに出来ないか
専門誌が伝える演劇界と映画界の動き
自粛からはなにも生まれない
東京で上演し続けることの意味