ヘッドラインに岡本芳一氏とつかこうへい氏の訃報を掲載する日が来るとは、思ってもみなかった。お二人とも62歳で、一回り以上年上の蜷川幸雄氏の活躍を思うと、まだまだこれからだったのにと感じてしまう。ご冥福をお祈りする。
お二人への追悼文はネットでも多数目にするが、岡本氏に向けたものでは風琴工房の詩森ろばさんが書かれた「七夕の宵、どんどろ頌」、つか氏に向けたものでは観客のpeatさんが書かれた「つかさんのこと」に、魂を揺さぶられる思いがした。前者は故人と接点のある立場から、後者は純粋な観客の立場から語られるオマージュだ。
人の死について語るということは、遺された者がどう生きていくかの決意を語ることにほかならない。その思いが強いほど、故人は私たちの心の中で生き続ける。ネットをやっていて本当によかったと思えるのが、こういう文章に出会えたときだ。
マスコミに載った追悼文では、『週刊SPA!』7月27日号の連載に鴻上尚史氏が書いた「僕が、つかさんの作品から感じた悲鳴にも似た感情」が話題を呼んでいる。『熱海殺人事件』に対する独自の解釈を書いたものだ。一読の価値があると思う。